俳優神田穣(24)が、来年1月に石原プロモーションが芸能部業務を終了することに伴い、エヴァーグリーン・エンタテイメントに移籍したことが発表された。

神田は、昨年、夏の高校野球埼玉大会を取り上げるテレビ埼玉の「高校野球ダイジェスト」に出演していた。私も同時期に、夏の高校野球埼玉大会を担当しており、球場でたびたび見かけた。

埼玉大会は、地元紙、一般紙のさいたま支局、テレビ埼玉(テレ玉)などの5~6社が約1カ月間、ともに球児を追いかける。ライバル社だが、濃密な時間を過ごすため“同志”のような感覚も生まれる。神田も、暑い中、朝早くから、日焼けもいとわず、黄色いテレ玉のTシャツを着て取材に励み、夜に出演する番組に備えていた。

ある日、最寄り駅から遠方の球場に行くためにタクシーの列に並んでいると、テレ玉関係者と神田が「相乗りしませんか」と提案してくれた。約20分の道中で自身の野球での渡米経験や、高校時代の最後の夏の経験を明かしてくれた。

球場でも、その豊富な知識で、野球経験のない私に解説してくれた。つたない質問にも丁寧に対応してくれ、非常に誠実で気さくな印象をもった。

昨年7月末に大会が終わり、私は同8月からこの部署に配属が決まったわけだが、同12月末に「日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)に、神田は“石原軍団”として参加しており、再会した。

たまたますれ違うことがあり、お互いに気づき、笑顔で軽く会釈を交わした。神田はキッチリと決まったスーツに身を包み、キリッとした俳優の顔をしていたが、瞬時に、夏に見た人懐っこい笑顔に変わった。当時の人柄の良さがよみがえった。

神田は今夏もテレ玉「高校野球ダイジェスト」のMCを務めるほか、今夏撮影予定の映画のメインキャストとしての出演も決まっているという。

事務所移籍に伴い、「これからは新しい事務所でアカデミー賞新人賞獲得という夢と、愛される人間になるという目標に向かって気持ちを新たに頑張ります!」と意気込んでいる。

ひたむきに取り組む姿勢や誠実な人柄はまさに「愛される人間」そのものだろう。さまざまなフィールドでの活躍が楽しみだ。