韓国の人気男性音楽グループ、BTS(防弾少年団)が30日、米国で急増するアジア系住民に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)について、SNSで差別や暴力に反対するとの声明を発表した。

先日行われた米音楽界で最も権威ある賞とされるグラミー賞授賞式では受賞は逃したものの、韓国人アーティストとして初めて最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされたBTSは、ツイッターに韓国語と英語で差別への抗議のメッセージを投稿し、米国時間30日午前の時点で178万以上の「いいね」がついている。

長引く新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全米ではアジア系住民を狙った犯罪が頻発する中、先日はジョージア州アトランタのマッサージ店で6人のアジア系女性を含む8人が犠牲になる銃撃事件も起きており、声明では「愛する人を亡くされた方々に心からお悔やみを申し上げます」とつづられている。「悲しみと怒りを感じている」と語るBTSは、自分たちも理由もなくののしられ、見た目で嘲笑されることに耐えてきたと差別を受けた経験を告白。さらに「アジア人がなぜ英語を話すのかと聞かれたこともある」と明かし、そのような(人種的)理由から憎しみや暴力の対象となることの苦痛を言葉にすることはできないと語っている。

一方、「自分たち自身の経験は過去数週間に起こった出来事と比較して取るに足らないものです。しかし、これらの経験は私たちが無力であると感じ、自尊心をそぎ落とすのに十分だった」とし、今起きていることはアジア人としての私たちのアイデンティティーから切り離すことはできないとコメント。その上で、この問題についてどのようにメッセージを発信すべきか深く考えた結果、「人種差別に反対し、暴力を非難します。あなた、私、そして私たち全員が、尊重される権利があります。私たちは一緒に立ち向かいます」と力強い言葉で差別反対と団結を訴えている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)