ソロアーティストのアイナ・ジ・エンド(30)が5日、東京・新宿の東急歌舞伎町タワー前シネシティ広場でゲリラライブを開催した。
人気アニメ「ダンダダン」主題歌で7月に配信リリースした「革命道中」が「Billboard Global 200」にランクインするなど、世界的ヒットを記録。3日のシングル発売を記念したゲリラライブで、同曲を含む全6曲を熱唱した。荒々しくも美しいステージに、3000人の観客がくぎ付けになった。
10年ほど前、BiSHとしてデビューする前、アイナは中野駅前で路上ライブをして下積み時代を過ごしていたという。「終電くらいの時間に、仕事終わりのサラリーマンの人を狙って『好きな曲はないですか?』『歌ってほしい曲ありますか?』と聞いて、人の歌を歌っていた。中森明菜さんとかピンク・レディーさんとか歌って、ケンタッキーをおごってもらっていました」と懐かしんだ。
この日も路上に腰を下ろしてリクエストを聞いていた日のように、ステージに座り、ファンとコミュニケーションをとった。時折通りかかったサラリーマンへ「お仕事お疲れ」と声をかけるなど、フリーライブを楽しんでいる様子だった。路上で歌っていたころの思い出と、見ている景色を重ね合わせていたのだろうか。観客と目線を合わせてしみじみと語り合おうとする姿が、歌唱中のアーティストとしての姿とのギャップも相まってとても印象的だった。
高校卒業を機に、歌手を目指して大阪から上京。「上京組で、新宿はいまだに慣れない。昔はよく歌舞伎町にネズミが歩いているのを見に来ていました」と笑いつつ、新宿は憧れた街の1つだった。「新宿は渇きとたぎりのはざま。いろんな人に1回目に触れてほしいので、波動を出します」と、唯一無二の歌声と見る人の心を奪う魅惑のダンスパフォーマンスで、約1時間、かつて通行人としてさまよっていた街を自分の空間にした。
大雨警報が発令されるほどの荒天を吹き飛ばし、ライブ前には晴れ間が見えるほど“虹女”ぶりを発揮。ライブ前にはファンが陣取る前方のみにぎわっていた観覧エリアも、通行人を次々と観覧エリアに吸い込み、最後は満員となった。
人気をつかむまでのストーリーを知り、人気アーティストとして多くの観客を魅了する姿を見て、「すごい」という言葉が止まらなかった。実際のライブにも行きたくなる、魅力あふれるライブだった。【野見山拓樹】



