パンサラッサの大逃げがレースを面白くした。3角過ぎでは後続を15馬身以上引き離して、前半の1400メートルは1分20秒8。予想通りのハイペースとなったが、後ろに目を向けると2番手バビットは1分24秒1で通過。つまり後続はスローペースで、まったく異なる2つのレースが展開されていた。
こうなると仕掛けのタイミングが難しい。イクイノックスで先頭から4秒差。ルメール騎手は「パンサラッサは見えなかった」と話したが、そんな逃げ馬を深追いはできない。中途半端に動けば、それこそ他馬の目標になる。届かなければ仕方がない。この割り切りが上がり32秒7という究極の末脚を引き出した。
東スポ杯2歳Sで32秒台(32秒9)の脚は証明済み。ダービーでは4角14番手からドウデュースに首差まで迫った。瞬発力だけでなく持久力もある。この経験値があったから、直線に向いて追いだしをワンテンポ遅らせることができた。いったんアブレイズの後ろでためを作ってから外へ。このタイミングが絶妙だった。
残り200メートルでもパンサラッサとは10馬身近い差があったが、ルメール騎手には差せる自信があったのだろう。難しい展開だからこそ余計なことはせず、イクイノックスの力を信じた。切れ味にこだわった騎乗が、ゴール前の逆転劇、そしてG1初制覇につながった。



