JRAは4月8日、YouTube上で流通するJRA関連映像について、著作権管理体制の強化を発表した。レースや調教など公式映像の無断2次使用について、改めてメスを入れた形。今回の「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」では、桑原幹久記者がその狙いを深掘りした。
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近年、YouTubeを中心とした動画サイトで、JRAが著作権を有するレースや調教の公式映像を無断で2次使用した予想・回顧動画が散見される。昨年9月の定例会見では、JRA側が該当動画の存在を認識、対応策の検討を明かしていた。
今年4月8日、JRAが動いた。「YouTube上のJRA関連コンテンツの取り扱い」が発表された。従来は目視による動画の確認、手動での削除申請で対応していたが、デジタル著作権管理、コンテンツID運用支援を事業とする米国のTowerhouse社と提携。該当動画を自動検知し、最終的にJRAが最終確認、措置を指示する。膨大な件数に対応できる仕組みを確立した。
一方、競馬ファン、特に若年層にとって多彩な動画コンテンツは、切っても切れない存在。YouTuberをはじめとしたクリエーターへの影響について、JRAは以下のように回答した。
「競馬ファンの皆様がSNS等を通じて予想や回顧を楽しみ、コミュニティーを形成していただいていることは大変ありがたく認識しております。本取り組みは、ファンの皆様の健全な活動を制限するものではなく、悪質な権利侵害を排除し、コンテンツの適正管理を通じてユーザーの皆様により良い視聴体験を提供するためのものと認識しております」
個人配信者について、現時点で新たなガイドラインの整備や許諾制度の整備を行う予定はないが、法人向けに「申請フォーマット」を新たに作成。5月1日からJRAホームページ、同YouTube公式チャンネルで掲載を開始した。
また、3月14日から公式YouTubeではグリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」の無料配信がスタート。SNS上では近年充実している公式配信への視聴導線強化を狙った一面も示唆されていた。
「公式メディアを通じて正確かつ魅力的な情報提供を強化していくことは本会の重要なミッションですが、今回の取り組みの主たる目的は、あくまで『本会の適正な管理の下で権利を保護すること』であります」
JRAは対応策を適宜見直し「ファンの創造性とコンテンツの健全性の両立」を目指すとした。ルールに沿って競馬を楽しむ。当然の日常を築くため、さらなる環境整備に向けたJRAの今後を注視したい。
【桑原幹久】(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー~楽しい競馬~」)



