前回はワールドカップ(W杯)の賞金について触れました。その額は優勝すると約42億円もの賞金がその国のサッカー協会に入るというもので、本当に想像を絶する金額でもあります。

 一方でレアル・マドリードが前人未到の3連覇を果たしたヨーロッパサッカークラブNO.1を決める大会、UEFAチャンピオンズリーグ。2連覇した時の賞金は90万ユーロ(1ユーロ=130円換算で117億円)で、W杯の約3倍近くにもなります。選手にしてみれば当然名誉にもなりますが、クラブ経営側としてもとても夢のある世界が広がっているとも言えるでしょう。

 賞金面を見るとW杯と大きな違いが1つだけあります。UEFA(欧州サッカー連盟)によると、賞金は定額賞金とマーケットプールと呼ばれる分配金の2種類によって構成されており、定額賞金は本戦への出場給と大会成績給にて構成されています。まず定額賞金というのはチームの成績によって配分が決定するというもの。つまりCLの予選を突破できた時点で配分賞金があり、その後の本戦でのグループリーグ、ベスト16進出、ベスト8進出というように勝ち残ればその分賞金が配分されていくいわゆる“勝利給”のようなものになります。これとマーケットプールと呼ばれる分配金の合算が大会での賞金となってされています。定額賞金だけでも合計7億6100万9000ユーロ(990億4700万円)にもなり、その内訳(チーム参加給・成績給)は以下の通り。


 プレーオフ敗退:300万ユーロ(3億9000万円)

 プレーオフ突破:200万ユーロ(2億6000万円)

 本戦出場給(グループリーグ参加給):1270万ユーロ(16億5100万円)

 勝利=150万ユーロ(1億9500万円)、引き分け=50万ユーロ(6500万円)、負け0ユーロ

 グループリーグ突破(ベスト16進出)600万ユーロ(7億8000万円)

 ベスト8進出:650万ユーロ(8億4500万円)

 ベスト4進出:750万ユーロ(9億7500万円)

 決勝戦では勝ち負けのみが配分の対象(決勝進出での賞金はなし)

 優勝:1550万ユーロ(20億1500万円)、準優勝1100万ユーロ(14億3000万円)


 一方、マーケットプールはグループステージに出場する32クラブを対象に各サッカー協会がそのリーグの放映権収入を出場クラブに割り当てるというもの。前シーズンの国内リーグにおける順位やそのシーズンのCLでの出場チーム数やその消化試合数などによって決定されます。テレビの放映権料をベースとした配分金額という言い方がわかりやすいかもしれません。詳細は未発表も、17−18シーズンは、5億700万ユーロ(659億1000万円)にもなります。

 賞金の総額では12億6890ユーロ(1649億5700万円!!!!)にもなるのです。

 歴史的な3連覇を成し遂げたレアル・マドリードはなんと優勝したことで9080万ユーロ(118億400万円)を手にし、一方惜しくも敗れたリバプールはそれでも8330万ユーロ(108億2900万円)を手にしたということになります。

 しかし、今季(18-19シーズン)からまた分配方式を変更すると発表があり、詳細は以下の通り。


 本戦出場給(全体の25%):各クラブに均等配分

 大会成績給(全体の30%):出場クラブの大会成績に応じて配分

 UEFA係数給(全体の30%):大会出場32クラブが過去10年で獲得したUEFA係数に応じて配分

 マーケットプール(全体の15%):放映権額に応じて参加クラブに配分


 UEFA係数というのが新しく入って来ました。簡単に言うと、UEFAの主要大会で過去10年、成績を安定して残すことができたクラブが一番多くの取り分があるということです。そしてUEFAの主要大会に安定的に出場するためには、リーグ戦で安定して勝利を収めなければなりません。

 新シーズンはレアル・マドリードが新チームにて4連覇を達成できるのか、目が離せません!

 次回は各リーグの賞金などについて触れたいと思います。【酒井浩之】


 ◆酒井浩之(さかい・ひろゆき) 1979年(昭54)8月24日、愛知県生まれ。2015年3月にレアル・マドリード大学院スポーツマネジメントMBAコースに日本人として初めて合格。卒業後、レアル・マドリードへ入社。17年6月退社。現在はスペインと日本を行き来しながらスポーツビジネス領域におけるコンサルティングなどを手掛ける。