左から久保建英、安部裕葵、中村敬斗
左から久保建英、安部裕葵、中村敬斗

2020年東京オリンピック(五輪)が近づいてきた。自国開催の五輪。だれもが関わりたい思いは、共有だろう。サッカー界も同じ。五輪日本代表の座を目指し、世代のアプローチが活発化している。

今夏、その世代の移籍市場が盛んだ。久保建英(18)がレアル・マドリード、安部裕葵(20)がバルセロナと超ビッグクラブへの移籍が現実化している。関西でもガンバ大阪で売り出し中のFW中村敬斗(18)が、オランダ1部トウェンテに移籍した。

もちろん、個人として海外クラブで成功したい思いはある。ただ、その先に五輪の舞台を見据えているのも確かだろう。移籍会見で中村は「東京オリンピックは最高の舞台。海外で活躍すれば代表に近づく。例えば2桁得点、2桁アシストすれば1度は招集されると思うし。チームで活躍するのが大前提で、その先に代表は見えてくると思う」と話していた。

海外からアピールする選択肢があれば、国内で存在感を示す覚悟もある。その1人として、セレッソ大阪DF瀬古歩夢(19)を取り上げたい。身長183センチ、外国人に劣らない体格を誇り、最近はマテイヨニッチとのコンビでC大阪の堅守を支える存在になった。

瀬古は「自分も(海外に)行きたい思いはあるけど、(Jリーグで)しっかり試合に出てからの選択肢。ここで結果を残さないといけない」。

17年のルヴァン杯ヴィッセル神戸戦で16歳11カ月でトップデビューを果たした。大熊清・チーム統括部長は「ボランチもできる」とその能力を高く評価する。同世代が世界、しかもトップレベルの舞台に挑戦。刺激はもちろんあるが、タレントぞろいのC大阪でレギュラーの座をつかもうとしている現状。そこからのステップアップを狙っている。

神戸のイニエスタ、ビジャらが代表するようにJリーグに世界一流選手が加入し、格段にレベルは上がっている。Rマドリード、バルサで活躍すれば、すごいことだが、Jリーグから上っていく選択肢は当然ある。

東京五輪世代。それぞれに個性が強く、楽しみは尽きない。どんなメンバー構成になるのか。海外、そして瀬古のように国内からアピールしていく姿を追いかけたいと思う。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆実藤健一(さねふじ・けんいち) 1968年(昭43)3月6日、長崎市生まれ。若貴ブームの相撲、ボクシングでは辰吉、徳山、亀田3兄弟らを担当し、星野阪神でも03年優勝を担当。その後いろいろをへてスポーツ記者復帰。九州、長崎愛が異常に強い。

リーグカップ戦最年少出場記録を塗り替えたC大阪DF瀬古歩夢(2017年5月24日撮影)
リーグカップ戦最年少出場記録を塗り替えたC大阪DF瀬古歩夢(2017年5月24日撮影)