最高のフィナーレ。北海道コンサドーレ札幌は本拠地・札幌ドームで迎えた今季最終戦でサガン鳥栖を3-2で下し、3連勝で過去J1最高位の01年に並ぶ11位でフィニッシュした。試合後のセレモニーで、今季限りで退任する四方田修平監督(44)の口から、来季はコーチとしてチームに残ることを発表した。15年7月に監督就任し、J2優勝、J1残留に導いた。「四方田札幌」は有終の美を飾り、バトンを新監督のミハイロ・ペトロビッチ氏(60)に託した。

 律義で誠実。四方田監督の人柄が表れていた。鳴りやまない「四方田コール」に何度も足を止めて振り返り、赤黒に埋まったスタンドを見上げて手を振った。「有終の美を飾れるような勝利をつかめて、うれしく思うし、感謝の気持ちでいっぱい」。鳥栖戦初勝利で3連勝。さらには、クラブ史上最高タイの11位でシーズンを終え、表情はとても穏やかだった。

 来季新監督に“ミシャ”こと前浦和監督ペトロビッチ氏の就任が明るみになり数日。複雑な空気が流れる中での最終戦も、選手たちが不穏なムードを吹き飛ばした。前半6分にFWジェイの3試合連続弾で先制。そして、同16分にはドリブルで相手DFを振り切ったFW都倉が6試合ぶりのゴールを決めた。チーム内の決まり事を破ってメンバーを外されるなど監督との確執もあった。「外国人の監督なら干して当たり前のところ、チャンスをくれた。欠点に向き合わせてくれて感謝しているし、自分の成長に欠かせない時間だった」。都倉は真っ先に指揮官へ駆け寄り抱きついた。

 試合後のセレモニー。四方田監督は「この数日、本当に悩み抜いて、今朝、決断しました」と自身の去就について切り出した。「まだまだ、コンサドーレの力になりたいので、覚悟を決めて頑張ります」と、来季は新監督を、コーチとして支えていくことをサポーターに報告した。

 セレモニーでは、ペトロビッチ氏から四方田監督と札幌サポーターへの“ラブレター”が映像で流された。「ヨモダさん! 私はあなたとともに仕事がしたい。何よりも、あなたのサポートが必要だ」。広島、浦和で実績を挙げた名将からのラブコールに、四方田監督は「あんな大監督にそう言っていただいて光栄。指導者として、まだまだ成長したい。刺激を受けたい。ミシャさんの下で吸収したいという気持ちがふつふつと湧いてきた」。“四方田札幌”から“ミシャ札幌”へ。さらなる高みへ、新たな挑戦が始まる。【中島宙恵】