元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(37)が22日、都内で行われた小児がんの子どもたちを支援するイベント「ルカ・モドリッチ チャリティーイベント2018 WE ARE THE FUTURE」に参加し、ハッスルプレーで会場を沸かせた。アシストを決めた直後には、横綱時代の07年に故障でモンゴルに帰国中、サッカーに興じて問題になったことを引き合いに、思わず「これで問題になった」と漏らし、場内を笑わせた。

元朝青龍は、子どもたちと「朝青龍FC」を結成し、元イタリア代表のアレッサンドロ・デルピエロ氏(43)率いる「デルピエロFC」と、子どもたちと組んで2本、大人と組んで1本の、合わせて3本試合を行い、うち1本と3本目に出場した、1本目に右サイドに開いてボールを受けると、鋭いシュート性のクロスを蹴りこみ、ゴールをアシストした。直後に、思わず「これで、俺、問題になったんだ」と漏らした。

元朝青龍は、2007年(平19)7月25日に「腰の疲労骨折などで全治6週間」の診断書を日本相撲協会に提出し、モンゴルに帰国しながらサッカーに興じたことが発覚。再来日して当時の北の湖理事長に謝罪も、協会の臨時理事会で「2場所出場停止、4カ月30%減俸、九州場所千秋楽までの4カ月間謹慎」の厳しい処分をくだされた。その時の苦い思い出が、思わず口を突いて出た。

元朝青龍は、その後も右サイドに張り、手を上げてボールを要求すると、現役時代同様、巨漢に似合わない鋭い踏み込みから、シュートを放った。前日21日に初めて対面したというデルピエロ氏にボールを奪われると、悔しさをあらわにするなど、コートに立った子ども以上に真剣にプレーした。

イベント後、取材に応じた元朝青龍は、「試合中に思わず口にするほど苦い思い出?」と聞かれると「今は問題なしですよ。昔、サッカーをやって大問題になったんですけど…サッカーを問題にしないで下さい」と苦笑いした。そしてデルピエロ氏の方を見て「僕はサッカーは好きです。イタリアも大好きなので、この企画を聞いた瞬間、喜んじゃった」と笑みを浮かべた。

現在、モンゴルの日本担当外交顧問とモンゴル大統領特別大使を務める。今後については「今後の予定は、たくさんあります。国の仕事もあるしイベントもあるし、人のためにやっていきたい」と語った。

17年大みそかにはAbemaTVで生配信された「朝青龍を押し出したら1000万円」で7年ぶりに土俵に立ち、相撲の8番勝負で格闘家のボブ・サップ、元大関琴光喜の田宮啓司氏らと戦い全勝。試合後は「相撲は人生最後。もう、上がることは絶対にしない。ダグワドルジに戻る」と完全引退を宣言した。この日は、体の切れも良かったが、格闘技の復帰については「もう、無理。予定はないです」と笑って否定。サッカーについても「90分は無理ですね」と苦笑した。【村上幸将】