試合終了が近づくにつれてボリュームが上がるスタンドの拍手。後押しを受ける札幌は、無敗(2勝1分け)で1次リーグを突破した。勝利が必要だった相手から、勝ち点1を死守。ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)は「お互いの意地と意地がぶつかり合った」。準優勝だった昨季に続く決勝トーナメント進出。タイトルを目指して引き続き戦える安堵(あんど)感も見せていた。

指揮官の起用に応えた2人が貴重な先制点をもたらした。好機を演出したのは、来季加入が内定している特別指定選手の明大FW小柏。左かかと痛の影響で10日に全体練習に合流したばかりだったが、後半4分、スピードを生かした積極的な仕掛けで、ペナルティーエリア内で反則をもらった。「少しは手応えを感じた。自分の特長のスピードの部分はプロ相手でも通用すると思った」。将来への期待を持たせるには十分なデビュー戦だった。

有望株がお膳立てしたチャンスは、主力返り咲きを狙うFWロペスがしっかり決めた。独特の間合いから、左足でゴールネットを揺らした。一時帰国していたブラジルから新型コロナウイルスの影響で先月ようやく再来日。復帰2戦目での今季初得点に「ゴールを取りたい気持ち強かった」。気合で1発につなげた。

準々決勝は9月2日。もともと過密だった日程はさらに過酷になり、8月2日から数えて中3日以内の間隔で13試合をこなすことになった。ペトロビッチ監督は「今日みたいな結果を得られ、手応えがある。若い選手にとって経験が彼らの成長につながる」。一丸で戦う札幌は、スケジュールにも負けず、昨季のリベンジを果たしてクラブ初タイトルへ突き進む。【保坂果那】

○…過密日程を戦う札幌を、ケガ人続出のピンチが襲った。前半15分に、左CBで先発していたMF高嶺が右膝負傷で交代。終了間際の後半40分には、左ウイングバックで出場のMF白井がピッチに倒れ込み、担架で運ばれた。右足を痛めたとみられる。中2日でリーグ川崎F戦を控え、ペトロビッチ監督は「今日の試合でもケガ人が出てなかなか次の試合への準備も難しい」と頭を悩ませていた。