北海道コンサドーレ札幌は横浜F・マリノスに1-1からPK戦の末、4-5で敗れ、準優勝だった昨季に続く準決勝進出は果たせなかった。後半8分、MF駒井善成(28)のゴールで先制したが、同32分に同点に追い付かれ、PK戦に突入。5人目のキッカーDF福森晃斗(27)が相手GKにはじかれ、4強入りを逃した。

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夜空を見上げるしかなかった。PKを止められた5人目のキッカー福森は、敗戦が決まると、ピッチにあおむけになり、顔を手で覆った。両チーム4人ずつが成功後、得意の左足から繰り出した、やや左寄りの軌道のキックは相手GKにはじき返された。PK戦4-5。カップ戦制覇の夢は道半ばで閉ざされた。

ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)がいつになく肩を落とした。昨年ルヴァン杯決勝でも延長戦までもつれてPK戦の末、タイトルに届かなかった。「私はPKになった時には不運な宿命を背負った監督。その不運を選手に背押せてしまい、悲しいし残念な思いだ」。90分は五分の戦いだっただけに、運が勝敗を分けたのが残念でならなかった。試合後はスタンドのサポーターへ手を合わせ「ごめんなさい」のポーズをしながらピッチを後にしていた。

札幌はほぼベスト布陣で勝利を目指した。8月29日名古屋戦の先発10人がそのまま中3日で臨んだ。一方横浜は同日神戸戦から先発を4人入れ替え。疲労面では不利も、ペトロビッチ監督が「昨年の決勝の忘れ物を取りに行く」と誓ったタイトルへ、本気で勝ちに行った。

先制には成功した。マンツーマンで前からのプレスがはまり、0-0で折り返した後半8分、均衡を破った。DF福森からのクロスをMF駒井がワンタッチでFWロペスに送りシュート。相手GKにはじかれ、こぼれると、駒井がすかさずゴールに押し込んだ。リーグ戦7月26日ホーム横浜戦でJ1初得点を決めた背番号14の先取点も、追いつかれた。

前日1日の練習後には、居残り練習する選手たちの姿があった。90分で決着しなければ突入するPK戦に備えて、四方田ヘッドコーチがPKの練習もベンチ入りメンバーに確認させていたほど、勝利にこだわった。残されたリーグ戦、8月は2分け4敗だった。巻き返しのためにも、GK菅野孝は「毎日ミシャ(監督)を信じて努力すれば結果はついてくる」。決してサッカーで劣ったわけではない。この善戦をリーグ戦の浮上のきっかけにする。【保坂果那】