復権を目指した尚志が、2年ぶりに福島王者に返り咲いた。昨年覇者の宿敵・学法石川を2-1で撃破。1-1の後半ロスタイム、U-22日本代表のDFチェイス・アンリ(3年)が値千金の決勝弾。劇的勝利の立役者となった。チームは12度目の全国選手権(12月28日開幕、東京・国立競技場ほか)に出場。過去最高成績の11、18年度の全国4強超えへ-。尚志イレブンが、目標の「全国制覇」のスタートラインに立った。

2年ぶりに歓喜の瞬間を迎えた。雲ひとつない秋晴れのピッチ上、全国選手権出場を告げるホイッスルが鳴り響いた。後半27分に途中交代も、最後まで仲間を鼓舞し続けたFW松本勇斗主将(3年)はベンチ前で仲村浩二監督(49)と抱き合って、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

「ホッとしました。良い状態で勝ち切れた。今年は個性的なチームでいろんな選手がいる中、優勝できてうれしいのひと言です」

カウンター攻撃から劇的なゴールが決まった。1-1で迎えた後半ロスタイム。アンリが一気にゴール前へと駆け上がった。ペナルティーエリア手前でパスを受け取ると相手DFをかわし左足を振り抜いた。優勝を決定づける1発。両膝から滑り込み、喜びを爆発させた。「仲間を信じて走り込んだ。本当にうれしい」と興奮気味に話した。生まれ故郷の神奈川県から父レジナルドさん、母恵美さんも応援に駆けつけてくれた。入学したばかりの高校1年時には、ホームシックになることもあったが「今は全然余裕です。良い仲間がいるので」と大きく胸を張り、「Thank you」とスタンドで見守った両親に感謝の言葉を伝えた。

雪辱Vだった。昨年は県大会準決勝で学法石川に0-1で惜敗し、連覇も「6」でストップ。今大会前には「今年は今年」と悪夢を振り払い、無我の境地で力を出し切った。松本主将は言う。「(昨年は)自分も試合に出ていた。悔しさがなくなったわけではない。挑戦者の気持ちを忘れず、全員でもぎ取った優勝だと思います」。

全国選手権では11、18年度の4強が過去最高成績。頂点の景色は、まだ知らない。同主将は「目標は全国制覇です」と言い切る。チームが掲げる最大のテーマは「最後のロッカールームを笑って出よう」。尚志イレブンに悔し涙は、似合わない。【佐藤究】