欧州各国リーグは一部を除いて16-17年シーズンを終えた。日刊スポーツでは、現地通信員らによる「通信員回顧録」を随時掲載でお届けします。まずはセリエA編。

 本田が背番号10をつけてACミランでプレーすること3年半。復権を目指す名門での戦いは生易しいものではなく、度重なる監督交代でレギュラーを白紙に戻された。今季もモンテラ監督の構想外。5月末のボローニャ戦に途中出場し、FKでようやくシーズン初得点を決めた。

 ベンチ要員となっても、本田は全く手を抜かなかった。ハーフタイムのアップは、控え組の状態を高めることで間接的にチームに貢献しようとしているようだった。ミランTVで解説を務める元イタリア代表のバッツァーニ氏は「試合に使われない時間が長すぎる上、シーズン後に出ていくことが決まっているなら、真剣に練習しなくなる選手が多い。しかし、本田は最後まで監督に呼ばれれば、それに応える準備を精神的にも肉体的にもしていた」と語る。あるコーチは「ボローニャ戦での活躍はこれまでの努力のたまもので、とてもうれしい」と喜んでいた。

 最終節で本田はモンテラ監督から主将に指名された。プロ精神をたたえられ、ある意味、有終の美を飾ったとも言える。成果を手にできなくとも努力を絶やさず、プロ精神を示した。来季の行き先は決まっていないが、自分の考えを貫こうと努力を続けるに違いない。この日本人選手がミランに残したのは、そんな意志の強さだった。