この1カ月ですっかりラグビーに詳しくなりました。ワールドカップの影響です。試合はテレビでも見ていますが、ここまで2試合を会場で観戦して、盛り上がりを肌で感じました。音楽に合わせてみんなで手拍子したり、ビール片手にはしゃぐ人も大勢いて、とにかく熱気がすごかった。コアなファンが真剣な顔で観戦する競技というイメージとは少し違う、楽しむ文化を体感しました。

19日に東京スタジアムで行われたニュージーランド-アイルランドの準々決勝で発見がありました。試合前に大型ビジョンで映像を使った詳細なルール説明が流され、とても勉強になりました。またDJが試合中に流す音楽を事前にアナウンスして、盛り上げ方を実に楽しく教えてくれました。いろんな工夫で試合前から会場の空気を温めていたのです。

ワールドカップが盛り上がっているのは、確かに日本代表の成長と快進撃が大きな要因です。一方で大会を支える裏方の関係者の情熱と努力なくして、成功はなかったと思います。日本らしい和太鼓による選手入場の演出ひとつ見ても、創意工夫を感じます。ラグビーと同じで、主役の選手も支えるスタッフも全員が力を出し尽くす。ラグビーの面白さは絶対に伝わるはず。そのラグビー界の信念を、観客席で感じました。

18日には東京体育館で車いすラグビーの国際大会を観戦しました。20年を見据えた強化試合でしたが、会場は想像以上に盛り上がりました。ワールドカップと同じように試合前からDJが競技の楽しみ方を伝え、観客と一緒に応援の練習をして、空気を温めていました。会場に行けば試合はもちろん、応援する楽しさも味わえることを観客に分かってもらえたことは収穫だと思いました。

会場で熱気を一緒に体感していると、ルールまで分かるから不思議です。そこであらためて感じたのは、盛り上がるスポーツの国際大会は、人々の気持ちを明るくして、頑張ってみようと前向きにするということです。それは1人1人にとってとても大切なことで、社会全体にもいい影響を及ぼすのだと思います。これはオリンピックもパラリンピックも同じ、スポーツの魅力。このお祭りは来年も続きます。今度は私たちが頑張る番です。

◆大日方邦子(おびなた・くにこ)アルペンスキーでパラリンピック5大会連続出場し、10個のメダルを獲得(金2、銀3、銅5)。10年引退。現在は日本パラリンピアンズ協会副会長で、平昌パラリンピック日本選手団長を務めた。電通パブリックリレーションズ勤務。47歳。