BC3(脳性まひ、運動機能障がい)で河本圭亮(21=東郷町施設サービス)が有田正行(39=電通アイソバー)を3-2で破って3連覇を果たし、東京パラリンピック代表に内定した。

ミリ単位の攻防だった。ジャックボール(目標球)に寄せてははじかれ、はじいては寄せる繰り返し。河本は第1エンドに1点を先制も追いつかれ、第3エンドに1点を勝ち越した。最終第4エンドは互いにジャックにピタリと寄せて譲らず1-1。1点差の逃げ切りだった。

障がいが最も重いクラスで、選手はランプという滑り台のような用具を使って投球する。その分、プレーの精度が高く、実力者同士の戦いはロースコアの競り合いになる。

河本は自分がジャックを投げて戦略を組み立てられるエンドで確実に得点。有田のジャックだった最終エンドでは複数得点のチャンスもあったが「1-1に持っていこうと思っていた」という冷静さで試合をコントロールした。

「自分の仕事をやり切った。どんな状況でも諦めず貪欲に、勝つことにぶれずに戦いました」。国際大会の経験を重ねたことで、どんなフロアコンディションにも対応できる能力の重要性を知った。今大会ではボールの微妙な変化に苦しんだ選手も多かったが、河本は最後まで乱れなかった。

「東京パラリンピックの代表は想定内でした。これからがスタートです。足りないところを急ピッチで埋めていってメダルを取りたい」。河本は笑顔を見せることなく、淡々と決意を明かした。

◆河本圭亮(かわもと・けいすけ)1998年(平10)3月27日、名古屋市生まれ。4歳の時、徐々に筋力が衰える筋ジストロフィーを患っていることが分かる。競技歴は12年。16年に国際大会にデビューし、17年アジアユース個人銅メダル、今年のアジア・オセアニア選手権個人4位、団体戦ペアBC3銀メダル。世界ランキング17位。東郷町施設サービス所属。