選手と監督に聞きたい。日韓戦の重みが分かっていますか? 日本では韓国戦を伝統の一戦、永遠のライバルという。それは日本のサッカーを築いた先輩たちが、何度も屈辱を味わい、W杯や五輪への道を断たれてきたからだ。Jリーグができて徐々に追い付き、肩を並べるようになったのに、この敗戦は、応援してくれるサポーターにも先輩たちにも失礼過ぎる。

 韓国は日本が最も苦手とする、ラフなサッカーを仕掛けてきた。シンプルに長身FWに合わせ、そのこぼれ球を狙う。日本はフィジカルもスピードもパワーも、さらに監督が常に強調するデュエル(球際の攻防)も完全に負けていた。この1戦は、W杯で対戦するポーランドもセネガルも研究するはず。W杯本大会で、徹底的に空中戦を仕掛けてくることも考えられる。

 1-4の大敗、ホームで優勝できなかった。収穫は乏しいが、あえて言えば、GK中村が可能性をみせてくれたことだ。この日の4失点は彼のミスが絡んでいるわけではないし、失点を重ねても最後まで冷静さを欠かなかったのは、評価できる。W杯までの半年で、第2GK→正GKへと駆け上ることは十分に考えられる。

 歴史的惨敗。この中から、W杯本大会に何人の選手が生き残るだろうか。この1戦だけをみると、やはり欧州組に期待するのは、自然な流れといえる。(日刊スポーツ評論家)