フットサルのワールドカップ(W杯)は、東京五輪後の9月12日~10月3日にリトアニアで開催される。

9年ぶり5度目の出場となる日本は1次リーグE組でアンゴラ、スペイン、パラグアイと対戦する。

前回出場の12年タイ大会では史上初めて決勝トーナメントに進出。Jリーグ横浜FCのFWカズ(三浦知良)がメンバー入りするなど大いに盛り上がった。今回の21年大会では初の4強入りを目標に掲げる。

日本サッカー協会の北沢豪フットサル委員長は「今回のFIFAフットサルワールドカップに出場することで8年間の空白を埋めていき、目標である大会ベスト4を目指すとともに日本のフットサル界の発展につないでいきたい」とコメントした。

今回の代表チームは新型コロナウイルスの影響で、昨年2月の親善試合パラグアイ戦(2-3)を最後に国際試合は行っていない。それでも5月に2度の代表候補合宿を行うなどチーム強化に抜かりはない。今月5日には15シーズン目のFリーグも開幕。選手は14人のW杯登録枠を目指し、個々のスキルアップに努めている。

Fリーグは、過去28シーズンで10チームが優勝したJリーグと違い、完全な「1強リーグ」。過去14シーズンでシュライカー大阪が16-17年に優勝した以外は名古屋オーシャンズが計13度優勝。無敵の王者は今季も開幕から2連勝を飾り、5連覇に向けて好スタートを切っている。

昨季は2位のバサジィ大分に勝ち点14の大差をつけて4連覇を達成。抜群の勝負強さを発揮し、全19勝のうち1点差勝ちが7試合を占め、その割合は36・8%に達した。2位の大分が14勝中3勝の21・4%だったから、最少得点差勝利がいかに多かったか分かる。

総得点数は名古屋が86点、大分が84点と大差はなかった。にもかかわらず、結果的に独走優勝を果たしたという事実が、名古屋の試合巧者ぶりをより鮮明にする。

5月の日本代表候補合宿(茨城)のメンバー19人のうち、名古屋からはクラブ別最多の9人が選出された。昨年12月に日本国籍を取得した昨季Fリーグの「ベスト5」オリベイラ・アルトゥール(30=ブラジル出身)がメンバー入りし、主将の吉川智貴(32)と、9年前のW杯に出場した星翔太(35)がチームをけん引。国内敵なしのアジア王者の主力が、そのままフットサルW杯日本代表チームの骨格になりそうだ。

サッカーではドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンが1強で、同じようなメンバー構成だった代表チームが14年W杯ブラジル大会で優勝。MFイニエスタらスペイン1部バルセロナの選手が主軸だったスペイン代表も10年W杯南アフリカ大会を制した。

Fリーグで覇権を握り続ける名古屋の選手には「あうんの呼吸」のようなものがあり、それはブルーノ・ガルシア監督率いる代表チームにとっても大きなアドバンテージとなる。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)