川崎Fが「攻撃は最大の防御」で2年連続4度目のリーグ制覇に王手をかけている。3日の浦和戦に勝って2位横浜が同日のG大阪戦に引き分け以下か、川崎Fが引き分けて横浜が敗れると、昨季と並ぶ史上最速4試合を残してJ1優勝が決まる。

その攻撃力がクローズアップされるが、今季はここまで33試合でわずか21失点。1試合平均0・64失点は、J1史上最多19の無失点試合を達成した名古屋の0・79点を抑え、今季リーグ最少。昨季の34試合31失点、0・91点を大きく下回っている。

過去の年間優勝チームと比べても、18年の自チームが記録した0・79点(34試合27失点)を下回り、このままの「堅守」でシーズンを終えれば、08年の大分(リーグ4位)がマークしたJ1年間最少平均失点記録0・71点(34試合24失点)を塗り替えることになる。

また、鬼木達監督は史上最多4度目のJ1優勝となり、2007年から3連覇した鹿島のオズワルド・オリベイラ監督、広島で2012、13、15年と3度優勝した現日本代表森保一監督の記録を更新する。

その指揮官の下、今季はこれまで以上の「ハードワーク」で他チームを圧倒。そのパス回しはスピード感を増し、カウンターを受けそうになってもDF陣が全速力で戻って阻止する。

象徴的なデータが時速24キロ以上で1秒以上走った「スプリント」。相手を上回った試合は昨季が15試合で、今季は22試合を数える。1試合平均もリーグ15番目の157回から今季は5番目の173回に増加。過密日程の中でもチーム全員がボールとともに全力で走り続けている。

川崎F鬼木監督(2021年10月24日)
川崎F鬼木監督(2021年10月24日)

前節10月24日の清水戦で完封勝ちし、獲得した勝ち点は「84」に到達した。昨季の年間最多勝ち点記録の「83」を33試合目で上回った。中2日で迎えた27日の天皇杯鹿島戦でも3-1で圧倒し、鬼木監督は「中2日だったが、選手が素晴らしいファイトを見せてくれた。立ち上がりから圧倒するため、ハードワーク、球際、切り替え、全てよくやってくれた」と選手をたたえた。

昨季は4試合を残して24勝3分け3敗で優勝を決めたが、今季はそうした基本をさらに徹底することで失点を減らし、ここまで26勝6分け1敗。J1史上最少1敗のみでの記録的優勝が目前に迫っている。


〈J1年間最少平均失点記録〉

※  0.64 川崎F(1位)21年

1位 0.71 大 分(4位)08年

2位 0.74 仙 台(4位)11年

2位 0.74 C大阪(5位)19年

4位 0.79 川崎F(優勝)18年

※  0.79 名古屋(4位)21年

5位 0.82 浦 和(優勝)06年

5位 0.82 浦 和(2位)07年

5位 0.82 浦 和(2位)16年

5位 0.82 名古屋(3位)20年

※は11月2日現在

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

札幌対川崎F 前半、ゴールを決めガッツポーズする川崎F小林(中央)(2021年8月28日撮影)
札幌対川崎F 前半、ゴールを決めガッツポーズする川崎F小林(中央)(2021年8月28日撮影)