ヨーロッパでは、新シーズンがスタートしました。各地でプレーする日本人選手も増え、活躍が楽しみなところです。今回は、以前からレポートしているバルセロナの話です。依然と多額の借金を抱えた状態は変わりなく、選手の登録さえも危ぶまれておりましたが、8月12日に現地で約190億円を調達と報道がなされました。出資社はリベロ・フットボール・ファイナンス(Libero Football Finance AG)とニパ・キャピタル(Nipa Capital B.V)という企業で、前者はクラブに対して資金調達などの金融に関するアドバイスを提供するドイツの企業となっており、後者はオランダに拠点を置くベンチャーキャピタルのようです。
今回の発表によると、資金調達はバルセロナのweb3プラットフォーム「バルサ・ビジョン(Bar■a Vision)」を運営するブリッジバーグ・インベスト(Bridgeburg Invest)の株式譲渡と引き換えに行われるとのことで、2社に譲渡される株式は合計29.5%になるようです。報道では、クラブの株主からの承認を受け、2023年第4四半期までには株式の譲渡を完了する予定とのことで、ここに来て更なる権利売却による資金調達に成功したということになります。資金調達と同時に両社と戦略的パートナーシップも締結しており、以前から取り組んできた「web3戦略」を基盤としたマーケティングになるとのことです。web3の領域においては、2020年にバルセロナは、チリーズ(Chiliz)というプラットフォームでファントークンを発行して資金調達を行うなど比較的積極的に踏み込んでいるクラブの1つではあります。2022年の夏にはブロックチェーンを活用した取り組みやNFT、ファントークンを活用した新たなプロジェクトを立ち上げるとして、デジタルコンテンツを中心とした子会社であった「バルサスタジオ(Barca Studios)」の株式24.5%をチリーズに売却するなどしてきました。
日本市場においてはファントークンを発行してビジネス展開している企業はありますが、web3領域に強い企業がフットボールクラブや関連会社の株式を取得してビジネス展開している例は、現時点では耳にしたことがありません。また、野球やその他スポーツにおいても、そこまでの規模感でビジネスを組んでいる例はなかなか目にすることはありませんが、こういったヨーロッパビッグクラブのビジネススキームを日本の大きなスポーツ組織が参考にする形で新しく展開するケースが今後は出現してくるのかもしれません。
少し前まではクラブ消滅の危機とまで報道されていたバルセロナですが、ここにきて売れるものを売ったことで存続の目処は立ったように感じます。新しいスタジアムを建設しており、こちらもどの権利がどのように売却されるのか、そしてそれを買った企業がどのように活用されるのか、改めて注目していきたいと思います。
【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)
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