J1で11位のサガン鳥栖は7月29日にアウェーでサンフレッチェ広島戦(Eスタ)を迎える。

 18試合を終え、首位と勝ち点差14。今季の大型補強で初タイトルを目指す中、ここで降格圏の下位に取りこぼすわけにはいかない。そこで注目したいのが、マッシモ・フィッカデンティ監督(49)がMF鎌田大地がフランクフルト移籍後、チームのキーマンに掲げていたFW小野裕二(24)とFW田川享介(18)だ。

 特に田川は、鳥栖ユースからの生え抜きとしてスタメンに定着してもらいたい若武者だ。U-20W杯韓国大会を控えた5月のことだった。マイブームを尋ねると、テレビドラマの「CRISIS(公安機動捜査隊特捜班)にはまっています」と話してくれた。理由は元々、スパイの主人公、ジェームズ・ボンドが活躍する映画007シリーズなどアクションものが好きで、見ると「気分がスカッとするから」だと言う。小さい頃、出身地の長崎の田んぼで、おもちゃの鉄砲を使った“スナイパー”ごっこに夢中になった。

 自慢の快速で、瞬時に相手の守備を切り裂くプレーは、まさに獲物をワンチャンスで仕留めるチーターを思わせる。今年の4月9日。新潟戦で初ゴールを決め、クラブ最年少得点記録を18歳1カ月に更新した。鎌田が15年5月10日の松本戦で記録した18歳9カ月を約7カ月短縮した。それも何かの縁だろう。若くして海を渡った鎌田の志も胸に、大きく成長してもらいたい。

 現在、鳥栖は皮肉にも鎌田が抜けてJ1で2試合未勝利中だ。特に直近の川崎フロンターレ戦では2点をリードしながら3連続失点で逆転負けとリズムが悪い。田川は広島戦でチームの復調に役立てるか。鳥栖の「スナイパー田川」の一撃に期待したい。

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。