神戸から日本代表へ。2月7日に神戸市役所へ表敬訪問した神戸。関係者から「神戸から日本(A)代表選手が出てほしい」と声を掛けられたのが吉田孝行監督(40)だった。

 その答えとして、指揮官は青森山田から加入したMF郷家友太(18)の名前を挙げた。「今季は青森山田から郷家という良い選手が入った。ユースのレベルも上がっているし、3~5年後の近い将来、そういう(A代表の選手)が出てくると思う」。昨年11月、U-18(18歳以下)日本代表としてAFC・U-19選手権2018予選に出場した高卒ルーキーに期待を寄せた。

 郷家は、青森山田で攻撃の要として活躍した。2年から先発を務め、高校選手権の優勝に貢献。背番号「10」を着けた3年の同選手権では初戦の2回戦で先制点を含む2点を決めたが、3回戦でC大阪に加入したFW安藤瑞季(18)を擁する長崎総合科学大付戦で敗退。「全然納得していない。同じ年代の人には絶対負けたくない」と悔しさを残したまま、プロの世界に入った。

 今季初の対外試合となった沖縄キャンプ中の1月31日J2讃岐との練習試合では、FWルーカス・ポドルスキ(32)と同じく1本目でプレー。左サイドに入り、物おじすることなく積極的にゴールに向かっていた。郷家は「プロはプレスも速いし、パスの精度が高い」とプロの力を感じながら、「ミスが少なくできて良かった。最初の10分は緊張したけど、徐々にほぐれた」と笑顔。キャンプ前に「注目しているのは郷家。どれだけできるのか見たい」と話し、注視していた吉田監督が「走れて、スピードがある良い選手。思った以上にボールを扱うのが上手だし、プレーをしながらいろいろ考えている。向上心もあるし、彼は伸びる」と絶賛するほどの出来だった。

 1年目の目標は「まず試合に出ること」。2列目が主戦場となるが、チームには昨季チーム最多のリーグ8得点を決めたFW渡辺、神戸のエース背番号「13」を背負うFW小川、セットプレーのキッカーも務めるFW田中、独特の感性で切り込むMF中坂らがおり、壁は厚い。さらに2トップの一角やトップしたでプレーするFWポドルスキも健在。しかし、「試合に出て、2列目からの動きだしや得点を取るところを見てほしい。中でのプレーが持ち味なので、他の選手を使いながらもっと中に入っていけるようになりたい」と闘志を燃やす。

 まだ18歳。183センチと長身ながら、まだ体の線は細い。「みんな寒いと言うけど、神戸は暖かい。青森の春みたい。神戸での生活もサッカーも、これからが楽しみ」。神戸から日本代表に駆け上がるため、焦らずに1歩ずつ階段を上ってほしい。【中島万季】

 ◆中島万季(なかしま・まき)1988(昭63)年8月11日、鹿児島県薩摩川内市生まれ。高校野球やアメリカンフットボール、高校ラグビーなどを経験し、昨年4月からサッカー担当。