東日本大震災からまもなく10年を迎える6日、ベガルタ仙台対川崎フロンターレの「復興応援試合」がユアスタで開催された。節目のタイミングだから、という理由だけではない。この2クラブには10年にわたる“絆”があった。

11年4月23日、東日本大震災による約1カ月半のJリーグ中断が明けた最初の試合で、両クラブは対戦した。会場は川崎Fの本拠、等々力。前半に川崎Fが先制したが、後半2得点した仙台は、J1でのアウェーゲーム49戦目にして初の逆転勝利を収めた。震災でクラブハウスが半壊するなど被害を受け、仙台が練習を再開したのは3月29日だった。中断明け初戦での勝利は、被災地に元気を、日本中に感動を与えた。

仙台を迎えた川崎Fの、心のこもったおもてなしも話題になった。試合前には、クラブが作成した激励のVTRが放映された。サポーターからは、被災地への応援メッセージが書き込まれた「FORZA SENDAI」(頑張れ仙台)の横断幕が贈られた。会場全体で仙台のチャント(応援歌)を歌う場面もあった。ピッチでは本気でぶつかり、有事の際には手を取り合って前に進む。コロナ禍の今、あのときの映像を見ると、胸にしみるものがある。

10年前の再開初戦を戦った両クラブの絆は深く、異例のコラボグッズも販売されている。「復興応援試合」では、あの試合に先発していた川崎Fの中村憲剛氏と、ゴールを決めた元仙台の太田吉彰氏が来場した。仙台があのときの返礼として作成した、当時の出場選手、両クラブのサポーター、後援会などへのインタビューをつないだVTRも放映された。この動画は仙台のクラブ公式YouTubeチャンネルでも公開されている。【杉山理紗】

11年4月23日、川崎Fサポーターが仙台サポーターへ贈ったエール旗
11年4月23日、川崎Fサポーターが仙台サポーターへ贈ったエール旗
11年4月23日、川崎F対仙台 後半28分、同点ゴールを決め、天を仰ぎながら両腕を突き上げる仙台FW太田
11年4月23日、川崎F対仙台 後半28分、同点ゴールを決め、天を仰ぎながら両腕を突き上げる仙台FW太田
11年4月23日、川崎F対仙台 ずぶぬれになりながら指示を出す仙台手倉森監督
11年4月23日、川崎F対仙台 ずぶぬれになりながら指示を出す仙台手倉森監督
11年4月23日、川崎F対仙台 後半43分、ヘディングで決勝ゴールを決めた仙台DF鎌田
11年4月23日、川崎F対仙台 後半43分、ヘディングで決勝ゴールを決めた仙台DF鎌田