「10試合」という数字を、大きく感じるだろうか。J1で首位を争う川崎フロンターレと横浜F・マリノスが、9月から11月までの3カ月に予定している試合数の差である。リーグ優勝を狙う両者の負担の違いは、数字に表れている。

リーグ戦はともに27試合を消化しており、残り11試合。ルヴァン杯、天皇杯を敗退してリーグ一本の横浜は、今シーズンの残り試合数がこの数字と一致する。一方の川崎Fはルヴァン杯、天皇杯、そしてACLと獲得可能な全タイトルを残しており、いずれも決勝まで勝ち進んだ場合、前述の試合数の差が生じる。ACLは海外での試合もあり、一概に数字だけでは語れない負担もある。

月別の試合数の内訳は、以下の通り。

▼川崎F 9月7試合、10月8試合、11月5試合

▼横浜 9月3試合、10月3試合、11月4試合

そして12月4日には、両者直接対決のリーグ戦最終節が待ち受ける。

ちなみに川崎Fはその後、天皇杯準決勝、決勝を戦う可能性がある。さらにリーグ優勝またはACLを制覇した場合は、12月9日から19日にかけて開催されるクラブW杯を最大4試合戦う。リーグ戦を終えた12月以降にも、最大で6試合の差が生まれることになる。

数字を聞くと、思わず川崎Fに同情したくなる。年間試合数は最大で64試合。試合数の増加は世界に共通する強豪の宿命とはいえ、あまりにも多い。

ただ、8月は横浜の方が1試合多かった。この間に失った勝ち点を比べると、横浜は5、川崎Fは7と、試合数の少ない川崎Fの方が多かったのが印象的だ。8月の横浜は確かに強かった。川崎FはウズベキスタンでのACLや選手の移籍など、考慮すべき点が多々あったが、それでも首位は譲らないあたりが、昨季王者たるゆえんだろう。

9月以降、両者の試合数の違いはどう結果に表れるのだろうか。試合間隔が空きすぎると逆に調整が困難だ、とする意見もあり、優勝を予想するのは難しい。パフォーマンスにも注目しながら、両チームを見守っていきたい。【杉山理紗】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)