鹿島アントラーズが1年8カ月ぶりにサポーターに向け、練習を公開した。練習場には横断幕が掲出され、ユニホーム姿のサポーターも多数。これまでは非公開練習で、ガランとした殺風景な観客席だっただけに、華やかな客席が新鮮だった。クラブスタッフはもちろん、選手も「これだよね」とうれしそうだった。

練習中も、いいプレーには拍手が起こる。選手たちも「見られている」という感覚がより高まったのだろう。主将のMF三竿健斗(25)は「ファンの厳しい目線だったり、いるだけで緊張感、練習の質は高まり、試合と同じ環境でやれる。すごくいい練習ができた。日ごろから見られてるというのは一番大きい。プロはファンに見られてなんぼの世界」と振り返っていた。 サインや写真撮影のファンサービスはない。だが、練習後はDF安西幸輝が音頭をとり、全選手が客席の前に集合写真用のポーズ。横に長いスタンドのため、右、中央、左と3カ所でポーズを取り、最後は車いすのサポーターの席にも出向いてポーズを取った。選手たちからの今できる最高のファンサービスだった。練習見学したサポーターも「スタジアムで見るのと、この距離感で選手を見るのはやはり違いますね」。選手のキャラクターを間近で感じられるのも、練習見学の大きな“特典”だ。

今回の練習見学は、ファンクラブの最上級会員にむけてのもの。定員は200人だった。ワクチン接種証明書、もしくは検査での陰性証明が必要で、現地での検査も受け付けた。クラブハウスが広いため、検査場の場所もしっかり確保されていた。現在の所、サポーター向けの練習公開は10月9日と16日の2日間だけだが、この成功体験を元に、もっと回数が増えていくのではないかとも思う。そういう意味では、サッカーの日常へ向けた大きな1歩だと感じた。【岩田千代巳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)