J2東京ヴェルディは10月23日の今季最終戦・ファジアーノ岡山戦において「ともに未来へ Green Heart Project 2022」を開催した。
これは障がいのある人々やその家族、支援者に体を動かすスポーツプログラムや就労体験を提供し、最後は試合を観戦して楽しんでもらおうというイベント。今回は抽選で選ばれた中学生以上の障がいを持つ方々とその家族ら、約60人が参加した。
筆者が注目したのは就労体験。この日の試合前、味の素スタジアムに併設されているキッズパークでは、さまざまなアトラクションが用意された「お祭り」が行われた。そこでは障がいをもつ人々も運営側の一員となり、「ドリブル」や「シュート」、「野球」や「バスケットボール」など、いろいろなスポーツが楽しめる各アトラクションのスタッフとして訪れた子供たちが楽しくプレーするのを手伝った。
そして仕事を終えると、障がい者の方々にも労働の対価としてきちんと謝礼が支払われた。
健常者、障がい者に関係なくだれもが自由に働くことができ、給与を得て生活できる社会になることはとても大事なこと。東京Vの取り組みがさらに広まり、障がいを持つ人々がさらに自力で生活できるようになれば、本人だけでなくその周辺の人々ももっと安心して暮らせるようになるだろう。
そしてこのイベントにサプライズで登場したのが東京VのOBで元日本代表の北沢豪氏。日本障がい者サッカー連盟会長でもある北沢氏は各アトラクションを楽しんだ後、「こういうイベントをやると、だいたい(健常者と障がい者が)分かれているのが感じられちゃうもの。でも今日は来た時から『ああこれは交じり合っているな』と感じました」と感心したように話した。
北沢氏は「だれもが参加できるっていうのがスポーツの一番良いところ。ヴェルディは読売クラブ時代から、目の見えない方々と一緒にサッカーをやったり、サッカーの大切な価値を理解している人が、スタッフにも選手にも多かった。それがこういう取り組みにもつながっている」という。
この日の「Green Heart Project」にはJAPANサッカーカレッジ、淑徳高校の生徒たちもスタッフとして参加した。「海外では当たり前のように(健常者と障がい者が)交じり合うサッカーが行われているし、誰もがその権利を持って日常を楽しんでいる。それを日本もやらなければならない。そうじゃないとW杯で優勝できるような国にはならないと思う」という北沢氏は「そういうことが当たり前になるには、次の世代が大事。今日、学生が参加しているのはすごくいいことだと思う。彼らは僕らと違って、頭で考えなくても自然にユニバーサル(すべてに共通の)な発想ができるから」と評価した。
この日の岡山戦のキックオフ前には障がい者3人が車いすで選手とともにピッチに入場した。エスコートキッズ22人が両軍選手と手をつないで入場するシーンはよく見るが、東京V普及部の中村一昭コーチによると、将来的には車いすの障がい者22人に選手とともに入場してほしいと考えているという。
東京Vのこういった取り組みは試合の勝敗と同等、いやそれ以上に大事なことかもしれない。クラブの誇るべき側面だと思う。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)




