全国高校サッカー選手権の1回戦が29日、等々力競技場などで行われる。激戦区・神奈川を勝ち抜き、3大会ぶり6度目の全国出場を決めた日大藤沢は、等々力競技場で西原(沖縄)と対戦する。

応援などで日大藤沢の部員をまとめる部長の沢田康平
応援などで日大藤沢の部員をまとめる部長の沢田康平

日大藤沢にはピッチ外で部員をまとめる縁の下の力持ちがいる。部長の沢田康平(3年)だ。主将のGK岡本亜鶴(3年)も「自分が部員180人をまとめているわけではない。部長の沢田君です。勝ちたい思いを出してくれて、応援練習などで、一体感を作ろうよという姿勢でやってくれている」と一目おく存在だ。

沢田は「高校サッカーで日本一になりたい」という夢を持ち、中学で日大藤沢に入学した。高校1年生の時にはコロナ禍で、サッカー部の始動が初夏に遅れた。中学時代から、高校の練習やテント設営などの雑務は見て分かっており、コーチから仲間に段取りを教える役割を与えられたことを機に、現在の部長の役職につながったという。

沢田は「サッカーはレギュラーではないです。亜鶴(主将の岡本)はサッカーでまとめる。僕は、応援など、部としてまとめることをやっています。サッカーでは正直、チームのためには役に立てていないけど、応援や、練習のサポートという部分で、そこで貢献できたらと」と話す。

今回の全国大会で、トップチーム30人のチャント(応援歌)はすべて、沢田が手掛けた。横浜F・マリノスのファンで、マリノスのチャントの楽曲も数多く取り入れた。お気に入りは、マリノスの「この街にシャーレを」の歌詞を「日藤に、勝利を」などに変えたチャント。「盛り上がると思います」と自信をのぞかせる。

全国切符をつかみ、スタンドの部員と一体となって喜ぶ日大藤沢の選手たち
全国切符をつかみ、スタンドの部員と一体となって喜ぶ日大藤沢の選手たち

好きな選手は横浜MF喜田。懸命に走り「チームのために」に徹するプレースタイルに感銘を受け「自分もそうなりたい」と思うようになった。部の中ではいじられる愛されキャラ。お笑いが好きで「大学に行ったらお笑いサークルに入ろうかな」と話すほどだ。

今回の選手権では応援席で声出し応援が可能になった。部員全員で、沢田が真心を込めてつくったチャントでピッチにエネルギーを送り、まずは全国1勝を後押しする。【岩田千代巳】