追加招集されたFW永井謙佑(30=FC東京)が日本代表の令和初ゴールを決めた。前半19分に自慢の快足を生かして先制点を奪うと、同41分に追加点。代表デビューから実に10年越し、待望の国際Aマッチ初ゴールで、日本代表の令和初勝利を飾った。

追加招集の男、永井が令和の日本サッカー史に名を刻んだ。前半19分、DF冨安のスルーパスに爆発的な加速力で抜けだし、素早い切り返しで相手DFを翻弄(ほんろう)。左足を振り抜いてメモリアル弾をたたき込み、「うれしかった。やっていてすごく楽しかった」。何度もガッツポーズして、喜びを爆発させた。FW鈴木(札幌)の負傷で、代表合宿前夜に急きょ招集が決定。「まさか呼ばれるとは思っていなかった。年齢も年齢だしラストチャンスだと思ってやってきた」。10年1月に当時大学生でA代表デビューした日から実に10年越しで令和初&自身初ゴールを決めた。

30歳を迎えた今も、50メートルを5秒台で駆け抜ける。自慢の俊足を支えるのは“硬さ”へのこだわりだ。サッカー人生ケガ知らずだが、実は体が硬い。前屈をしても、足に手が届かないという。それでも「筋肉が硬いほうが瞬発力が出る」と、あえて体を柔らかくしないという、独自のこだわりを貫いてきた。半面、ケガのリスクと常に隣り合わせだが「肉離れをしたら引退の合図だと思っている」。この日は後半に肩を脱臼して交代も、「けっこう外れているのでそんなに気にしていない」。ケガを恐れず我流を貫き、結果を出した。

全力で走ると、自らの意思では止まれないため「試合では本気で走ったことがない」。7割くらいのスピードに制御しているというから驚きだ。前半41分には、MF原口の左クロスを中央で合わせて2ゴール目を奪い、速さだけではないところも見せつけた。9月から始まるワールドカップカタール大会アジア2次予選へ、満点アピールだ。【杉山理紗】

▼日本代表の年長初得点 30歳のFW永井が、国際Aマッチ7試合目の出場となった9日のエルサルバドル戦で初ゴール。30歳96日での代表初得点は歴代5位の年長記録となった。最年長初ゴールはMFラモス瑠偉が93年5月5日のスリランカ戦で記録した36歳85日だが、これは初ゴールに限らず日本代表の国際Aマッチ最年長得点記録になっている。永井のデビュー戦は20歳で、福岡大時代の10年1月6日イエメン戦。