【デュッセルドルフ(ドイツ)23日=岡崎悠利】

サッカー日本代表がW杯前最後の活動の場に選んだデュッセルドルフってどんな街?

ドイツには16の州があり、最大の人口を誇るノルトライン・ヴェストファーレン州の州都がデュッセルドルフ。約64万人が住み、在住日本人は約8500人(令和元年の外務省より)で、欧州では最大級の日本人街。ルール工業地帯産業都市として発展し、日本からは1950年代から三菱商事などが続々と参入。66年には日本商工会議所ができ、現在も約400の企業がオフィスを構えている。

街の中心にあるのが、特急電車が乗り入れる中央駅。バスやトラムも集結し、朝から多くの人が足早に歩いていく。街の西側にはライン川が流れる。全長が50メートル以上はありそうな貨物船が音を立てて何隻も運航し、かつてルール工業地帯の要所として発展した面影が残る。

中央駅から徒歩約5分の街中には「インマーマン通り」と呼ばれる、いわゆる“日本人通り”がある。看板はカタカナ表記が追加され、立ち並ぶ飲食店も「居酒屋」「すし店」「お好み焼き」。周辺ホテルに目をやると日航系列や「ホテル・アサヒ」など。地元観光局も「リトル・東京」と銘打ち、旅行者などに紹介するスポットにもなっている。

西へ進むと、石畳が続く旧市街と呼ばれるエリアに入る。日本に比べて高緯度で午後7時半ごろに日が落ちると、多くの人が地ビール「アルトビア」を求め、旧市街のパブに集まる。夜は気温が約10度まで下がるが、混雑で店に入りきれない客は平気で外にあふれていた。

街を歩いていてマスクを着けている人はほんのわずか。一方で公共機関といった屋内空間ではマスク着用が義務づけられ、うっかりした人には乗務員から注意が入る。あるときはホームで電車を待っていて、そばにいたドイツ人男性から「マスクを忘れてしまった。1枚くれないか」と声をかけられて渡した。おおらかさもあり、ルールはしっかりと遵守する。ドイツの気質を感じた。

街中で見かけたアパレルブランドのユニクロにふらっと入ると、Tシャツが1枚約3500円、カーディガンは約6000円だった。もともとこちらではユニクロが「お手頃価格」という感覚はないそう。円安も拍車をかけ、日本に住む立場からはどうしても比べてしまい、手にしようとは思えなかった。

日本人ともゆかりのあるこの街には、日本サッカー協会(JFA)の欧州拠点となるオフィスもある。欧州で勝手知ったる場所を、W杯に向けた最終調整の場とした。チームは今日23日、米国代表との国際親善試合キリンチャレンジ杯に臨む。