唯一の3桁だ。ベガルタ仙台は今日1日、ホームにガンバ大阪を迎え撃つ。先発濃厚のDF永戸勝也(22)が、現在4位の強敵に風穴を開ける覚悟だ。現在、永戸のクロスの本数は109本で、これはJ1トップの数字だ。このデータを受け、好感触を示したゴールデンルーキーだが、日に日にマークがきつくなってきているのも事実で、危機感も抱いている。前半戦ラストゲームでリニューアルした姿を見せて、勝利をホームに届ける。

 代名詞が、J1屈指のレベルと証明された。データを知り、永戸は「それだけ上げられていることはいいこと」と前向きに捉えた。数だけじゃない。DFラインとGKの間に正確なクロスを供給する。チームトップの3アシストと、仙台を支えている。

 109本の中で「記憶に残る」のは、やはり清水戦(4月30日)でのプロ初アシストだ。グラウンダーのクロスで、FWクリスランの得点を演出。「低いボールを上げるときは、相手が下がりすぎているときに狙う。敵の動きを感じてクロスを上げる」と言う。

 ただ「明らかに今までよりは強く消してくる印象」と言うとおり、活躍とともに厳しいマークを受けるようになった。6月25日の前節C大阪戦は、クロスで好機をつくれなかった。「ある程度嫌な存在になれているのかな」と活躍を自覚するが、「一辺倒だとこの先通用しないと思う」と、冷静に現実を見る。バージョンアップへ、必死だ。

 まずはゴールだ。「中に入ってシュートを決めるのが一番いいこと」と紅白戦でシュートを意識した。「駆け引きはできている。自信を持って、右足でいければ」と初得点を視野に入れた。守備の意識も高める。ミニゲームでDF蜂須賀に激しいプレスをかけた。「特長があって技術が高い選手たち。消していく作業が増える」とG大阪戦を見据えた。

 定位置争いをしたMF中野嘉大(24)は復帰後、右ウイングバックに入った。カットインからシュートも決める中野の登場で、攻撃の幅が広がった。永戸は「右に人が集まったとき、左に展開したらフリーになる」と好材料にする。6月21日の天皇杯2回戦敗退から未勝利のホーム戦。「勝つ試合を見せなきゃ。ゴールに関わりたい」と誓った。【秋吉裕介】