サガン鳥栖GK権田修一(28)が好守でスコアレスドローに持ち込んだ。柏レイソルに20本ものシュートを許し、何度も決定機を作られながら無失点に抑えた。3年ぶりの3連勝こそ逃したが、敵地で貴重な勝ち点1を得て31とし、9位をキープした。

 20本のシュートの中でも権田最大のピンチは後半35分だった。自軍のCKからカウンター攻撃を食らい、ドリブルで抜け出した柏MF伊藤と1対1を迎えた。シュートでの「正面突破」を防ぐようにペナルティーアーク手前でどっしり構えると、自陣左サイドへ持ち出す動きに体を横に倒して反応。伊藤の外への持ち出しが大きくなり、やや不十分な体勢から放たれたシュートは観客席へ飛んだ。ぎりぎりまで動きを見極め、ミスショットを誘った権田は「相手のドリブルにしっかり対応できた。普段の練習の成果」とうなずいた。

 7月に入団したリオ五輪韓国代表のDF鄭昇■(■は火へんに玄)がこの試合でリーグ戦初先発した。守備の関係を構築する中での無失点は自信になるだけに、権田の言葉にも力が込もった。「日本語でしっかり指示を出せている。彼らも鳥栖を助けたいとの思いで一生懸命です」。リーグ6位タイのチーム総失点23で、9位と中位をキープしている。

 ただ、後半ロスタイムに柏が2人退場して、数的優位に立ちながらゴールを奪えなかった。最後尾からの視点で「9人になったことで、チームが甘い雰囲気になってしまった。上を目指すためには、こういう試合をものにしないといけない」と反省を口にした。年間順位はここ2年続けて11位。今季加入した経験豊富な元日本代表GKは、ここから上位に進めむために必要なことを知っている。【戸田月菜】