2位川崎フロンターレが5得点でセレッソ大阪に快勝し、首位鹿島との勝ち点差を5に縮めた。司令塔のMF大島と得点源のMF阿部をけがで欠く中、エースFW小林悠(30)が自己最多に並ぶシーズン15点目を挙げ、大島の代役で先発したMF森谷賢太郎(29)も30メートルのミドル弾を決めるなど奮闘。チーム一丸で勝ち点3を手にした。リーグ戦は残り6試合となった。

 「大島ロス」を拭い去る快勝だった。川崎Fは前半19分に右CKからDF谷口のゴールで先制し、同45分にはエース小林の追加点で勢いづいた。4月のアウェーでの対戦ではPKを外し、チームも敗れただけに「今日はその悔しさをぶつけた。(大島)僚太がいない中で、自分が決めなくてはいけないと思っていた。勝負どころの2点目は大きかったかなと」と振り返った。

 9月23日の神戸戦で負傷した大島は左太もも肉離れで全治2カ月、今季9得点の阿部も同じ試合で右膝を痛め、長期離脱が避けられない状況だ。今季は大島がけがで欠場したリーグ戦は3分け2敗と勝率0%だった。だが今回、小林主将をはじめ選手たちは「誰が出てもフロンターレのサッカーができる」と底上げされてきたチーム力を信じていた。大島の代役の森谷はミドル弾を決め、DFエウシーニョもループ弾を含む2発と、この窮地でゴールラッシュを見せた。

 チームの3原則「ボール保持」「激しい球際」「速い攻守の切り替え」は最後まで揺らがなかった。小林は「僚太がいないと勝てないと言われたくなかった」とホッとした表情を浮かべ「(森谷)賢太郎はどこのチームでもレギュラーを取れる力があるのにサブでも手を抜かずに練習をしている。またチームが強くなったと感じる」と手応えを口にした。

 残り6試合で首位との勝ち点差は5。ルヴァン杯、天皇杯も勝ち残っている。今季は連敗もなく、悪い内容の試合後に立て直す勝負強さもついてきた。小林は「1試合1試合、これを続けていけばタイトルも見えてくると信じて戦っていく」。苦境を乗り越えた先に新しい歴史が待っている。【岩田千代巳】