台風22号による豪雨の中、清水エスパルスが気迫あふれるプレーで「前進」した。清水はアウェーでFC東京に0-0。4戦無得点、6戦勝ちなしも、J1残留争いのライバルたちが敗れた中、大きな勝ち点1を手にした。J2降格ライン16位広島との勝ち点差を3から4に広げた。

 清水の選手が、水しぶきを上げて戦い抜いた。後半36分、FWチアゴ・アウベス(24)が、ドリブルからシュートを放つもGKがセーブ。こぼれ球からFW北川航也(21)、MF竹内涼(26)と次々攻撃を仕掛けたが、ネットを揺らせなかった。シュートは相手を上回る10本。MF竹内は「攻撃の形が見え始めてきた。自分たちは間違っていないと感じる」と手応えを口にした。

 攻撃的に戦って得た勝ち点1。守りを重視した前節アウェー仙台戦(21日・0-0)とは内容が違う。先発したMF河井陽介(28)は、約8カ月ぶりの公式戦出場。同じく長いリハビリから戦列復帰したGK西部洋平(36)には「『自分の力が出せる』と信じて、リラックスを」と声を掛けられていた。それを受け止めてのプレーで、中盤でボールをキープして攻撃の起点にもなった。試合後は「勝てないところが、持っていないですね」と言いつつ、「みんな足が止まらずに動いて、前向きにプレーできていました。勝ちに近づいていると思います」と充実の笑みを浮かべた。

 勝ち点のために、豪雨もうまく使った。水が浮いてボールが止まることを念頭に、最終ラインから前線へのロングボールを繰り返した。一方で、試合前にはDF4人と竹内で「サイドバックも攻撃を我慢しよう」と堅い守備を確認。DF二見宏志(25)は「やることは、うちの方が徹底してできていた」と胸を張った。

 14位は変わらずだが、J2降格ライン16位広島が敗れ、勝ち点差は4に開いた。次節ホーム札幌戦(11月18日)で勝利し、広島が神戸に敗れればJ1残留が決まる。サポーターは「10・17」の横断幕を掲げた。2年前、初めてのJ2降格が決まった日。同じ悔しさを味わわないために、アイスタで勝ちにいく。【保坂恭子】