町田ゼルビアの相馬直樹監督(46)は、ホーム最終戦でレノファ山口に敗れた後のセレモニーで、サポーターに罵声を浴びせられたことについて、会見で「サポーターの方々が、そういう言葉を発し、思いを出してくださったのは、真摯(しんし)に受け止めなければいけない」と語った。

 相馬監督はセレモニーで「簡単なシーズンではなかった。苦しい中、皆さんとともに戦い、何とか来年、またJ2の舞台で戦うことを手にすることが出来ました。満足はしていません。また前に進んでいくために、まず私自身、反省して上に上がっていく力を付けていきたい」などと今季を振り返った。ホームでは7月16日の水戸ホーリーホック戦以降4分け5敗、4カ月も勝てないまま、ホーム最終戦を終えた苦悩と悔しさをにじませ、反省した。

 ところが、直後にあいさつに立った下川浩之社長が、冒頭で「山口のサポーターの皆さん(中略)私たちのホーム最終戦で勝っていただきまして、ありがとうございます」と発言したことをきっかけに、町田サポーターが激怒。スタンドから大ブーイングや罵声が飛び交った。相馬監督も下川社長、選手とセレモニー後にピッチの外周を回ってあいさつし、ゴール裏のスタンド前に立つと、サポーターの怒声を一身に浴びた。

 監督会見で、その件について聞かれると「ホームで(今季)4つしか勝っていない状況で、何とか勝ち点を取ろうと臨んだが、結果的に負け。当然、負けたくてやっているわけではありません」と悔しさをにじませた。その上で「勝ちたくてやっていますし、何とかしていくのが仕事。単純に止める、蹴る(のレベルが)上がらなければ難しい。もっとこだわって日々、やっていくしかない」と来季に向けた改善点を示した。

 J2に4年ぶりに復帰した16年は、クラブ史上初の首位に立つなどして7位と躍進。ただ、復帰2年目の今季は苦しみ、リーグ戦も9月2日のロアッソ熊本戦以降、7分け3敗と2カ月以上も勝てていない。相馬監督は「(16年は)本当に7番の実力があったかと言えば、そうではなかった。2年目は相手から、そう(7位になったと)見られる。周りからもドローでも『何やってるんだよ』と言われてしまう。ロッカーの中で『去年、こんなことないよな』と話が出るのも多分にある。そこを早い段階で残留を決めた選手は評価したい」と口にした。

 その上で「リーグ戦自体、勝利から遠ざかった中で楽しめるか、アイデアを出せるか。必死に頑張るのは当たり前。突拍子もないアイデアを見せていかないと…メンタリティ含めタフにしていきたい」と語った。

 19日の最終節は、アウェーでJ2優勝の湘南ベルマーレと対戦する。相馬監督は「来年、J1でやる湘南にどれくらい出来るのか…そこに向けてしっかり準備していきたい。サッカーの力で、人の心を動かしていけたらなと思います」と前を向いた。【村上幸将】