ジェフユナイテッド千葉MF佐藤勇人(35)は、弟の名古屋グランパスFW寿人との双子対決に敗れた。最終節までの怒濤(どとう)の7連勝で、クラブと自身にとって4度目のJ1昇格プレーオフに滑り込んだが「悔しいの一言。ここを勝ち抜くには、勢いだけでは足りない」と無念さをにじませた。

 弟との双子対決が注目される中、試合前は「両親から複雑だと連絡はもらったけれど、自分たちは…寿人もそうだと思いますし、家族というのを捨てて、クラブの一員として結果を出す立場としてピッチに立つ」と断言。会話もしなかったという。その寿人とともに先発に名を連ねたが、試合中、寿人が倒れると一瞬、視線を送る場面もあった。

 勇人は試合後、寿人と話し「もう、寿人の一ファンとして名古屋を応援する。昇格を応援しているから頑張ってくれ」と伝えたことを明かした。ともにJ1ジェフユナイテッド市原時代の00年にユースからトップに昇格し、寿人は千葉を去った後も、過去3度のPOの際には勇人を気遣い電話を入れてくれたという。POが終わった今、自分が弟のことを応援する番だ…という思いがにじんだ。

 勇人は、寿人が試合後「残酷な結果だけど、勝者がいて敗者がいるのがサッカーだ」と語ったと伝え聞くと、「その通りだと思います。寿人が言ったように、それがサッカーですし、プロとして生きているという意味。自分たちが、しっかり受け止める」と語った。その上で「寿人と名古屋を自分はしっかり応援したいと思います」と、あらためて口にした。【村上幸将】