J1名古屋グランパスから期限付き移籍した、FC町田ゼルビアFW杉森考起(21)が、レノファ山口FC戦で移籍後、リーグ戦8試合目で初ゴールを決めた。

 1点を追う後半4分、FW中島裕希の中央からのパスを受けたMFロメロ・フランクの右からのパスがDFに当たり、こぼれたボールを右足で決めた。ゴール直後にMF井上裕大に抱き締められるなど、多くのチームメートに祝福された。「みんな『おめでとう』、『良かったね』と声をかけてくれて、うれしかった。やっと決められた、うれしさはありますけど、勝ちにつなげられなかったのが残念です」と控えめに笑みを浮かべた。

 名古屋の下部組織から14年にトップチームに昇格。J2で戦った17年は26試合に出場したがシーズン中盤以降、出場機会を失った。「とにかく1年を通して試合に出て、戦いたいという気持ちがあり」(杉森)初めての移籍を決意したが、期待されて加入した町田でも開幕から途中出場が続いた。「試合に出たいという気持ちで、ずっとやっている中で最初は出場時間が短かった。移籍した中で出られない…何をやっているんだろうと悔しい気持ちもありました」と葛藤もあった。

 その中で、気持ちを切り替えた。「町田のサッカーにも慣れてきた。出来ることをやるという気持ちに変わったし、やれることをやるしかないな、チャンスをもらえた時に結果を出そうという気持ちでやっていました」。そして、2-3で敗れた15日の第9節ジェフユナイテッド千葉で、ようやく初先発、フル出場を果たし2戦連続で先発した山口戦で結果を出した。

 相馬直樹監督は、会見で「本人にとっても非常にうれしいゴールだと思う。スタートの方はゲームに出られないこともあったかな? もんもんとしたでしょう。でも、本人は練習の中で向き合っていた」と杉森の姿勢を評価した。

 14年ワールドカップ・ブラジル大会に出場した日本代表に、サポートメンバーとして帯同した当時の日本サッカー協会(JFA)技術委員長で、ブラジルで直接指導を受けた霜田正浩監督(51)率いる、山口との試合で刺激も受けていた。試合後は話す機会もなかったが「(霜田監督が)どう思っているか分からないですけど、活躍できればいいなと思っていました」と笑みを浮かべた。【村上幸将】