超大物FWフェルナンドトーレスがJリーグデビューを果たす、歴史的舞台となったアウェー・サガン鳥栖のピッチで、ベガルタ仙台は途中出場のFW西村拓真(21)が値千金のゴールを決め、1-0で勝利した。

 クラブワースト8失点の屈辱にさらされた直後の一戦は、異常な雰囲気の中で行われた。後半5分、鳥栖FWトーレスが途中出場でピッチに降臨すると、悲鳴にも似た大歓声が起こり、スタジアムが揺れる。さらに、そこから鳥栖の攻撃が活性化する。後半だけで12本のシュートが仙台ゴールを急襲。GK関憲太郎(32)が右へ左へ跳びはねながらセーブした。同37分にはトーレスの絶妙アシストから、あわやゴールの大ピンチに、必死にゴールラインまで戻ったDF平岡康裕(32)が右足1本のスーパーセーブで救った。

 それでも、防戦一方の展開を、途中出場2本の「槍」が打開する。中盤からのパスを受けたFWジャーメイン良(23)が、同じく左から上がってくるFW西村をしっかりと視野に入れながらロングパス。西村は「ジャメが見えていた(自分は)決めるだけでした」。この試合、たったワンチャンスのカウンターアタックを、見事に決めてみせた。

 激闘を終え、渡辺晋監督(44)は「前節の負け、そして(スタジアムの)難しい状況だったけど、みんな魂込めて戦ってくれた。たくましい選手たちですよ」と絶賛。これで前半戦が終了し7位でターンしたが「まだまだ、もっと上にいなきゃいけない」と前を向く。悪夢は完全に、払しょくした。