3位川崎フロンターレのエース小林悠(30)が1得点1アシストの活躍で逆転勝ちを呼び込んだ。0-1の前半32分に頭で同点ゴールを決め、後半19分に大島の勝ち越し点をお膳立てした。最近5試合で5得点と得意の夏場にエンジンがかかってきた。逆転でのリーグ連覇に向けて、首位サンフレッチェ広島を勝ち点差9で追う。

 エースとして申し分ない働きをした小林はロスタイムにピッチを退くと、充実した表情で汗をぬぐった。

 千両役者だ。1点を追う前半32分、右クロスをヘディングで流し込んだ。「絶対にボールがくると思っていた」。相手DF2人の間でボールを受ける絶妙の位置取りからファーサイドへ突き刺す、技ありのゴール。2戦連発だけではなく、後半は脇役にも徹した。19分、ゴール正面から柔らかい横パスでMF大島の決勝点を演出し「同じイメージを共有できた」と胸を張った。

 「夏男」の本領を発揮した。小林は「暑い中でDFは必ず集中が切れる時がある。その瞬間を常に狙っている」。夏場を得意とする点取り屋は、リーグ再開となった7月18日の札幌戦から5戦5発。前節横浜戦では今季初のマルチ弾をマークするなど、調子を上げてきている。16年は7、8月の2カ月間で10試合7得点。昨年も同期間に9試合8得点と量産し、自身初のJ1得点王に輝いた。

 得意のスタジアムでもあった。アイスタでは過去4得点。Eスタ(広島)とデンカS(新潟)で並んでいたが、これで敵地最多の5得点となった。お得意先で勢いづき、中3日のホーム鳥栖戦を挟んで、次々戦には首位広島との直接対決を迎える。小林は「優勝に近づくためには目の前の試合を1つ1つ勝っていくことが大事」。逆転優勝へ、昨季得点王のギアが上がってきた。【神谷亮磨】