前日にガンバ大阪が勝ったことによって順位を1つずつ下げて、暫定ながら17位の自動降格圏に陥った柏レイソルと、16位のプレーオフ圏内に足を踏み入れたサガン鳥栖。残留を争ってともに負けられない一戦は、1-1の“痛み分け”に終わった。

強い日差しで汗ばむ陽気となった前半は、互いに慎重な立ち上がりとなった。両チーム最初のシュートが生まれたのは前半19分。「勝ち点3」以上の意味を持つ一戦は、がっぷり四つに組む形で始まった。

その中で、均衡を破ったのはホームの柏レイソルだった。前半40分、加入後、初先発となったケニア代表FWオルンガがポストとなったボールを、10試合ぶりに先発したMF大谷秀和がやわらかなスルーパス。抜け出した右サイドバックの小池龍太が中に送り、最後はそれまで再三チャンスをつくっていたFW瀬川祐輔が押し込んだ。瀬川はこれでリーグ3試合連発。鳥栖は4試合ぶりの失点を喫した。

前半はチャンスらしいチャンスをつくれなかった鳥栖は後半「もっと相手のスペースを狙うこと」(フィッカデンティ監督)の指示の下、サイド攻撃を仕掛ける。開始早々の3分にはMF福田晃斗の右クロスをFWフェルナンドトーレスがフリーで頭で合わせたが、たたきつけたボールはGK桐畑和繁の正面だった。

決定的なチャンスを逃したが、それでもゴールの機会は巡ってきた。後半7分に得た右CK。DF三丸拡の左足で放たれたボールは、フェルナンドトーレスらの頭上を越えてファーサイドへ。柏DFもかぶってしまったボールをFW金崎夢生が頭で確実にねじ込み、同点に追いついた。金崎はリーグ3試合ぶり、鳥栖加入後2ゴール目となった。

これで鳥栖に勢いがついた。18分には、正面約20メートルのFKを金崎が右足でカーブを掛けてゴール右を狙う。23分には途中出場のDF安在和樹の右サイドからのクロスを、遠いサイドに走り込んだフェルナンドトーレスがマークを外してジャンピングヘッド。だが、いずれも、わずかにゴールの枠を外れた。

プライドを懸けた戦い。押され気味だった柏も、ようやくやり返す。26分に大谷が右から浮き球を送ると、後半開始からMF伊東純也に代わって出場したMF江坂任がヘディングシュート。ゴール左に決まったかと思われたが、これは日本代表GK権田修一が右手1本ではじき出した。

43分にはFWクリスティアーノのミドルシュートがDFに当たってコースが変わったが、再び権田が足を伸ばして好セーブ。ただ、そのこぼれ球は決定機となってFW山崎亮平の前にこぼれたが、これまた権田が体を張って防いだ。連続ビッグセーブを見せて、勝ち越しゴールは許さなかった。

白熱した試合は攻撃陣から見れば、互いにあと1点が遠かった。引き分けに終わり、勝ち点で並ぶ相手を突き放すことはできなかった。