【テヘラン9日=今村健人】篤人らのために-。悲願のアジア王者に挑む鹿島アントラーズは10日(日本時間11日)に敵地で、ペルセポリス(イラン)とのACL決勝第2戦に臨む。

前日の9日は試合会場で公式練習を行った。ホーム第1戦は2-0で勝ち、少なくとも引き分け以上で優勝が決まる。今回の遠征メンバーは20人。負傷のDF内田篤人らは国内待機だが、彼らにクラブ・ワールドカップ(W杯、12月12日開幕、UAE)での出場機会をもたらすためにもアジアを制する。

いよいよ決戦の地へやってきた。第1戦を終えてから国内で食事や睡眠、練習の時間を、この試合のために合わせてきた。時差ぼけもない。9日は8万人以上の観客が見込まれるアザディ競技場で練習した。FW鈴木は「普段とやることは変わらない。明日はチームを助けられるプレーをして、最終的にチームが勝っていればいい」と話した。

遠征に臨んだのは20人。だが、国内で待機する11人も含めた全員で、このACLのタイトルに向かってきた。昌子は特に、肉離れで離脱中の内田を思って言った。「篤人くんの輝く舞台、帰る場所はオレら次第である。それをつくりたい」。アジア王者となって臨むクラブW杯を指していた。

今季、内田は4つのタイトル…特にACL初制覇を念頭に、8年半ぶりに古巣に戻ってきた。後半戦は徐々に調子を上げ、ACLでも水原(韓国)との準決勝第1戦で後半ロスタイムに決勝ゴールを決めるなど、チームを押し上げてきた。その直後に負傷で離脱。決勝の舞台に立てなかった。

「このために帰ってきたのに…」と悔しがる思いを誰もが分かる。鹿島では練習後、特に試合に出ていない選手を食事に誘い、声を掛けてきた。そうした行動や振る舞いの1つ1つが団結を生んできた。だから今度は内田のためにも、クラブW杯の舞台をつくる。

初めて出場した16年クラブW杯は開催国枠で出場し、レアル・マドリードとの決勝まで進んだ。今度は自力で勝ち取る好機。12月の大会では初戦を勝てば準決勝でRマドリードと対戦する。クラブだけでなく、内田もシャルケ時代の15年、欧州CLでRマドリードと対戦経験がある。ともに「リベンジ」の機会がかなう。「クラブW杯は『対世界』。慣れた人がいてくれるのは、すごくありがたい」と昌子は復帰を待ち望む。

泣いても笑っても、あと1戦。全ては「鹿島」のためにアジア制覇に向かう。