完全アウェーの中で、ゴール前に仁王立ちした。その存在感は何者にも代え難かった。鹿島アントラーズGKクォン・スンテ。全北(韓国)時代を含めて、実に3度目のアジア王者に輝いた。

「言葉にするのが難しい気持ちだったが、終わってから3度目というのを自覚しましたし、この記録をもっともって4度、5度回と伸ばせるように頑張りたい」と喜んだ。

17年に鹿島に加入した元韓国代表GK。加入時のインタビューで「優勝するために来ました」と言った。だが、昨年は無冠。自身はけがもあって、不本意なシーズンだった。

曽ケ端準との定位置争いで、今季は多くの公式戦でゴールを守った。特にアジアチャンピオンズリーグでは経験を存分に生かした。準決勝の水原(韓国)戦では、韓国国内で物議を醸した“頭突き”もあったが、幾度となく好セーブを放った。「サッカーは戦争と同じで、必ず勝たないといけないもの」。

特に決勝のアザディ競技場は過去に何度か試合をしていた。その経験も大きかった。「アザディ競技場は『アウェーの地獄』と言われるように、その場所で無失点に抑えられたことはすごく良かったし、それが優勝につながったと思う」。クラブ悲願のACL制覇。そこに、頼れる守護神の力は大きかった。