ガンバ大阪のMF遠藤保仁(38)が10日、本拠地パナスタで行われた湘南ベルマーレ戦に出場し、フィールド選手では初のJ1通算600試合出場を達成した。鹿児島実高から98年に横浜Fへプロ入りし、21年目でGK楢崎(名古屋)の631試合に続いての大台突破。チームは、メモリアルな一戦で勝利し、J1残留も決定。21年ぶり8連勝の“おまけつき”で、レジェンドの記念試合に花を添えた。

レジェンド遠藤の600試合目に、J1残留が確定した。後半15分、FWファン・ウィジョが、パスワークから抜け出したDF米倉の右クロスを頭で決めて6試合連続ゴール。決勝弾となり、97年以来の8連勝でJ1残留も確定。偉業達成の記念日に最高の形で花が添えられた。

「いい結果で600試合(の日)に勝てたことは良かった。長い間、継続的に出ないと達成できない数字。でもまだ上の方がおられるので。そこを抜けるように楽しみにしていきたい」

98年に鹿児島実から横浜Fに入団。3月の開幕戦でデビューした。ここまで、ウイルス性肝炎での入院はあったが、けがでの長期離脱はない。年齢を重ねるたび、調整法を変え、ケアを徹底する。

最近は個人トレーナーをつけ、時間を見つけヨガに通う。練習に来るのも、若手より早い。現役時代から遠藤を見てきた宮本監督も「年齢とともに、またいろんな監督と出会う中でプレーを進化させている」と驚きを隠せない。

変化への対応、地道な積み重ねが、遠藤に新たに記録を刻ませた。日本代表でも歴代最多の152試合出場、ACL出場も日本人最多の58試合。Jリーグの顔に上り詰めるまで、遠藤は「試合出場」にこだわり続けてきた。

昨季、長谷川監督体制時に出場機会が減った時期があった。7月8日の敵地清水戦。先発した遠藤は2点を追う中、ハーフタイムに交代を告げられた。その瞬間、悔しさが爆発した。自他ともに「マイペース」「冷静」「沈着」と認める遠藤が、スパイクを握りしめて激高。試合に出られない自分が許せなかった。

「(主力でなくなる)危機感は常にある。年を重ねると若くていい選手がどんどん出てくる。世代交代と言われるのは当然の流れ。でも、パフォーマンスが良ければピッチに立てる」

今季、チーム内でここまでの全32試合に出場しているのは23歳のDF三浦と遠藤の2人だけ。今季限りで契約は切れるが、G大阪に残留濃厚。その来季は、631試合でJ1最多出場記録を持つ横浜F時代の先輩楢崎の背中も見えてくる。

「来季も今季のように出場することができれば(楢崎)正剛さんの持っている記録に近づくことが出来る。何歳になっても、先発で出たいという思いがあるうちは戦っていけたら」

J1残留も決まった。クラブ記録の9連勝でVゴール方式だった97年以来、21年ぶりの8連勝。「残りふたつ勝って、10連勝で締めたい」。背番号7の輝きも、G大阪も記録はまだまだ止まらない。【小杉舞】

▼J1通算600試合出場 G大阪MF遠藤保仁(38)が、10日の湘南戦(パナS)で達成。名古屋GK楢崎に次いで史上2人目。フィールド選手では初。38歳9カ月での到達は、楢崎の39歳5カ月を抜く年少記録となった。J1初出場は横浜F時代の98年3月21日の横浜M戦(横浜国)。