Jリーグの名門鹿島アントラーズが、8度目のACL挑戦で悲願のアジア王者になった。決勝第2戦で強豪ペルセポリス(イラン)に敵地で0-0で引き分けて2戦合計2-0とし、初優勝で20冠目を手にした。昨年の浦和に続いて日本勢が2連覇。鹿島は優勝賞金400万ドル(約4億4000万円)とクラブワールドカップ(W杯)(12月、UAE)の出場権を獲得した。

大岩剛監督(46)の来季続投が確実になった。幾人もの鹿島の名将が挑み、阻まれたアジアの壁。03年に選手で移籍してから16年目。クラブに初めて、アジア王者の称号をもたらした。男泣きした指揮官は「これで『鹿島アントラーズ』という名前がアジアに向けて発信される。一昨年にクラブワールドカップでレアル・マドリードと戦った決勝を上回る価値があるタイトル」と喜んだ。

昨年の5月31日、石井前監督の解任に伴って、コーチから昇格した。立て直しはしたが、最終節で磐田に引き分けて、川崎Fに逆転優勝をさらわれた。「選手が泣いている光景、サポーターみんなの顔。あの悔しさは、今後の監督人生で絶対に消えることはない」。

だが、今季は苦しんだ。過密日程やけが人増にも悩まされた。批判も高まり、0-3で完敗した4月28日の横浜戦の後、水面下で解任の話も浮上した。与えられた猶予は10日後のACL決勝トーナメント1回戦。この鹿島が1度も突破できなかった“鬼門”を通過したことで、首の皮がつながった。鈴木強化部長は「剛も苦しいことがあった。でも、後半戦で選手の使い方や見極め方が良くなってきた」と高く評価した。

就任後、競争を第一として三竿健を抜てき。主将の小笠原を控えに回すことが増えた。「ぶっちゃけ、一番難しかった。パワーはいりました」。それでも何度も2人で話し「頼むぞ。お前の力が必要なことは間違いない。小笠原満男のサッカー人生の気持ちを出してほしい」と伝えてきた。

優勝決定後、その小笠原主導で選手から水シャワーを浴びた。そして小笠原と固く、強く、長く、抱き合った。「現役で一緒にプレーもして彼には特別な感情がある。曽ケ端も含めて彼らとアジアタイトルを取れたことが非常にうれしい」。思いがやっと報われた。