鹿島アントラーズが3分の逆転劇で勝ち点3をもぎ取った。

1人少ない状況で、1-2から後半ロスタイムに2トップが2発。リーグ戦に続く2試合連続の逆転勝利でE組首位を守り、アジア連覇に前進した。

90分間苦しんだ鹿島に、ドラマチックな逆転劇が待っていた。1-2で迎えた後半ロスタイム、DF安西の左クロスをMF安部がファーで折り返し、これを「最後までピッチに残してくれたので絶対に取りたかった」というFW金森が押し込んで同点に。2分後には左サイドのMF山口の大胆なサイドチェンジをDF小田が頭で落とし、中央のFWセルジーニョがワントラップして右足を一閃(いっせん)。突き刺さるような強烈シュートで勝ち越し弾をたたき込んだ。

90分までは負け試合だった。序盤こそゲームを支配したが、決めきれないうちに流れを持って行かれた。前半ロスタイムには、1対1の場面で相手に左ふくらはぎを踏まれた守護神クォン・スンテが負傷交代。後半にはオウンゴールで失点し、DF犬飼がこの日2枚目のイエローカードで退場するなど、アウェーの洗礼を浴び続けた。

それでも攻めの姿勢を崩さなかった。パワープレーに頼ることなく、じっくりとサイドから攻撃を組み立てた。勝ちにこだわる姿勢が生んだ逆転勝利。セルジーニョは「勝ち点3を取れてうれしい。誰も諦めなかった」と胸を張った。

5日の名古屋戦で逆転勝利の立役者となったFW土居、今季7得点と絶好調のFW伊藤は遠征メンバー外。指揮官は大卒新人のMF名古やFW金森ら、フレッシュな顔ぶれを送り込んだ。途中出場の21歳DF小田は今季初出場。同じく途中出場の山口とのコンビネーションで勝ち越し弾をアシストし、監督の期待に応えた。

長いシーズンを見据えてターンオーバーを図りつつも勝利。大岩監督は「勝ち点3は彼らの成功体験として強く残る。それが次につながる」と言った。これで公式戦2試合連続逆転勝利。若返りを図る鹿島に常勝軍団らしい勝負強さが身についてきた。

 

▼2点差逆転勝利 鹿島が0-2から3点を返して3-2と逆転勝ち。ACLで日本勢が0-2から逆転勝利は、08年3月19日1次リーグ全南戦(4-3)でのG大阪、18年10月3日準決勝第1戦水原戦での鹿島(3-2)に次いで3度目。過去2度の0-2からの同点弾は08年のG大阪が後半10分、18年の鹿島が後半39分。今回の鹿島のように後半ロスタイムに同点、勝ち越し点を決めたのは初めてのケース。