下位に沈むアビスパ福岡が、今季初のレベルファイブスタジアムで反撃ののろしを上げた。今年行われるラグビーW杯の試合会場となるため、改修を終えて、本来の本拠地で初めてホーム試合が行われた。これまで代替会場だった博多の森陸上競技場で平均約6000人だった観衆は、慣れ親しんだ“マイホーム”に戻るなり1万人を超えた。

試合は引き分けたが、サポーターの大声援を得てほぼ福岡のペースだった。序盤から主導権を握りながら、前半34分に相手CKからのショートコーナーであっさりと先制点を許した。ハーフタイムにファビオ・ぺッキア監督(45)が控室でカミナリを落とし「別のチームになった」といい、士気はさらに上がった。

後半はFWフェリックス・ミコルタ(29)、FW城後寿(33)の投入で打開を図った。さらに攻め立て、後半33分についに追いついた。レベスタの試合について「声援が後押しとなり、最後に走る力をくれた。レベスタはすごくいい雰囲気で楽しかった」と振り返ったDF石原広教(20)がオーバーラップから絶妙左クロス。それをFWヤン・ドンヒョン(33)が頭で合わせ、相手DFを吹き飛ばしながら体ごとゴールに押し込んだ。サポーターの魂が得点に乗り移ったかのようだった。

大宮高木琢也監督(51)も「本来、家に帰ると元気が出るのと同じで、パワーがあった」と福岡を評した。ぺッキア監督は「他のホーム(博多の森陸上競技場)でセットプレー以外、得点できなかった中、とてもよかった」といい、今後について「ここに戻ってきて、結果がちょっとずつついてくれば(成績は)伸びていく」と、手応えをつかんだ様子だった。