J2アルビレックス新潟は今日24日の今季最終節、V・ファーレン長崎とデンカビッグスワンスタジアムで対戦する。23日は今季最後の練習を聖籠町のクラブハウス練習場で行った。GK野沢洋輔(40)の今季リーグ戦初のベンチ入りが濃厚となった。19日に今季限りでの退団が発表され、計10年在籍した新潟から去る。03年新潟のJ1昇格を知る“レジェンド”が新潟のメンバーとして最後のビッグスワンでの試合に臨み、サポーターに別れを告げる。

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最後まで“新潟愛”に満ちていた。練習を終えた野沢はグラウンド脇で待つ300人以上のサポーターのもとに足を運んだ。記念撮影、サイン、握手。1時間30分以上をかけて、求められたリクエストにすべて応えた。ファンからは温かい言葉ばかりをかけられた。別れを惜しんで涙ぐむ人もいた。「こっちはもう、言葉にならなくて…」。胸がいっぱいになった。

そのファンの思いに少しでも応えられる状態に長崎戦は持っていける。今季リーグ戦初で、公式戦では天皇杯・金沢戦(7月3日、石川県西部緑地公園陸上競技場)以来のベンチに入る。この日はハーフコートで行う締めのミニゲームで、後半の10分間ゴールを守った。次々とシュートを浴びて5失点。それでも懸命に飛びついた。

19日に契約満了が発表になってからカウントダウンをしながら練習に臨んでいた。ワンプレーを無駄にせずに集中した。「最後の練習を終えて思い残すことはなかった」。その成果が新潟の選手としてはJ1だった08年12月6日の最終節、G大阪戦以来4005日ぶりにビッグスワンでのベンチ入りだ。

ポジション的に出場の可能性は低い。それでも新潟在籍時に背負い続けた背番号「21」をサポーターに見せられる。「普段からいつ出てもいいように準備はしてきた」。ベンチに入ってもそれを続ける。90分間、どんな事態にも備える。「勝って終わるためにも自分らしくいたい。そして皆さんの笑顔が見たい」。思いのすべてを注ぎ込む。【斎藤慎一郎】