4大会ぶり10度目出場の神戸弘陵(兵庫)。U-18日本代表候補のDF田平起也(たびら・たつや、3年)は、選手権デビューを勝利で飾った。

卒業後はJリーグ、セレッソ大阪に入団が内定していることもあり、「こんなに注目されたことがなかった。初めての経験で浮足立たないようにした」と80分間を振り返った。

188センチの大型センターバックで左利き。神戸弘陵では4バックの中央左でこの日もプレーした。前半は強烈な風下に立ち、味方のミスもあって2失点。「あんなにボールが戻ることがないほど、風がきつかった」。だが空中戦では競り負けず、ヘッドで細かいパスを配球する器用さも見せた。

後半途中には右サイドにパスを振り、自らはゴール前付近まで攻め込んだ。得点意欲を示すも、パスが田平に来なかったことで自陣へと戻った。守備だけではなく攻撃面でもアピールした。

直接FKは主将の沖吉大夢(たいむ、3年)か田平が受け持つ。この試合では後半11分にその場面がやってきたが、主将に大役を譲って「大夢が決めてくれてよかった」と、仲間の同点弾を喜んだ。

前半9分にFW吉田翔貴(3年)がまさかの負傷交代。途中出場した徳弘匠(なる、2年)が、突然の出番ながら同23分にこぼれ球を右足で蹴り込んで先制した。緊急事態にも田平や沖吉が中心となり、下級生に声をかけ続けてシーソーゲームを制した。先発11人中、1、2年生が6人。「下級生が多い中、僕らが発信することに意味がある」という田平は「(注目されることに)耐えないとプロでは通用しない」と、表情を引き締めていた。