北海道コンサドーレ札幌に新加入したタイ代表GKカウィン・タンマサッチャーナン(30)が23日、チームに初合流した。

熊本県内で行われた全体練習に参加。26日にメディカルチェックを受け、早ければ29日のリーグ第2節川崎F戦から出場可能となる。海外では2チーム目となる新天地で、尊敬するドイツのレジェンドGK、オリバー・カーン氏(50)のような活躍を目指す。

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ほほえみの国の守護神が札幌に加わった。この日、来日したばかりのタイ代表GKカウィンは、前日22日のリーグ開幕戦・柏レイソル戦を終えたメンバーと羽田空港で合流して熊本入りした。合流初日の練習はランニングなど軽めのメニューも、ピッチでは拍手で迎えられ選手たちの輪に入った。「みんなワイワイして声をかけられて、とても良い雰囲気」。MFチャナティップ(26)に続く2人目のタイ人選手は、チームの雰囲気に満足そうだった。

“札幌のカーン”を目指す。代表キャップ数64試合と経験豊富で、クラブからはパワーと足元の技術を評価されている。普段は笑顔を絶やさずおおらかな性格で、自身のセールスポイントを聞かれると「内緒だよ」とちゃめっ気たっぷりに笑う。ところが試合になると気迫あふれるプレーを見せる。「自分のプレーよりもチームの結果につなげたい」と、「闘将」と呼ばれた憧れの元ドイツ代表GKカーンと同じく勝利に対するこだわりは強い。顔つきもどことなく似ている。

心強い仲間がいる。初の海外チームとなった前所属ベルギー2部ルーベンでは知り合いがいなかったため、「苦しい時期もあった」と明かす。札幌ではタイ1部ムアントン時代でチームメートだったチャナティップやFWジェイ(37)がいる。「そんなに難しくなさそうだよ」。シーズン開幕後の合流となったが、仲間のアシストも受けてスムーズに溶け込んでいる。

順調に登録が済めば最短で29日のアウェー川崎F戦で出場が可能だ。今季のJリーグでタイ人選手は4人目で、GKでは史上初めてとなる。来日前はタイでビザの申請など手続きに追われながら、毎日練習をこなして「コンディションには問題ないよ」と話した。練習では1人でランニングしていたMF深井一希(24)に並びかけ、談笑しながらピッチを回った。「早く戦術やみんなの性格を学んで試合に出たい」。競争を勝ち抜き、札幌のゴールマウスを守る。【西塚祐司】

◆カウィン・タンマサッチャーナン 1990年1月26日、タイ生まれ。10歳でサッカーを始め、07年にタイのラパチャFCでプロキャリアをスタートする。08~17年はムアントン・ユナイテッド、18年から初海外となるルーベン(ベルギー)に所属。今年2月、期限付き移籍で札幌に加入した。タイ代表では10年からプレー。好きな日本食はすし、ラーメン。183センチ、78キロ。