新型コロナウイルスの影響で全公式戦が中断中のJリーグでは先日、北海道コンサドーレ札幌の選手一同が報酬の一部返納をクラブに申し出たことが話題になった。

全選手28人の4~9月の半年分の報酬の一部で、総額1億円に近い金額になるという。

約5億円の損失を見込んでいる札幌にとっては、この申し出を受け入れるかは未定だというが、今や国内外問わずに苦境に立たされているクラブが多い。

Jリーグの各クラブは現在、選手の給料などの支出はあっても、試合ができずに営業収入が事実上、閉ざされている。18年度の営業収益約97億円で1位となったヴィッセル神戸は、人件費も約45億円とトップだ。このままでは、高い人件費が経営を苦しめる可能性もある。

小規模クラブの幹部は「この1年は何とか乗り切れる見込みだが、来年もコロナの影響が続くと厳しい。例えば、スポンサー企業の経営が悪化し『来年は契約を勘弁してほしい』と、降板を申し出てくる可能性がないとはいえない」と言う。影響は今年ではなく、来年に出てくるという見方だ。特に中小企業と契約する場合が多い、地方クラブは厳しいと予想する。

選手にも同じような危機感がある。契約形態は選手で千差万別、一概にはいえない。あくまで平均的なクラブとの契約は、毎月支給される基本給と、試合に出場して勝たなければ得られない勝利給の2本柱で成り立つ。

勝利給も各クラブによって違い、J1で1勝につき100万円もらえる選手がいれば、J3では3万円という選手もいる。勝てばマネジャー、ベンチ外のコーチらスタッフにボーナスが出るクラブもある。それらがすべて止まった状態だ。あるOB選手は「Jリーグはそれほど給与面が高いわけではない。試合がなければ、生活が安定しない選手が出てくる」と予想している。【編集委員=横田和幸】