サッカー北海道リーグ3連覇中の北海道十勝スカイアースに今季、元コンサドーレ札幌のGK曵地裕哉(29)とDF内山裕貴(24)の道産子2選手が加入した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、道リーグは当初予定の5月17日開幕が6月中旬以降に延期。チームも18日以降、全体練習が自粛となったが日々、自主トレーニングに励んでいる。苦難の中、再開の日を待ち、北海道社会人サッカー界を盛り上げようと、力を蓄えている。

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元札幌コンビは今、新たな生活に慣れようと必死で取り組んでいる。曵地は4月からチーム本拠地・帯広の隣町、音更町役場でスポーツ活動の企画などを行うスポーツコーディネーターに就任、内山は帯広市内の酪農関連企業に就職。ともに感染拡大防止に配慮しながら勤務し、業後は自主トレーニングに励む。開幕延期も曵地は「みんなのための行動を取ることが最優先。どの選手も状況は同じ。活動再開した時に、しっかりプレーできるように」。内山は「大変な状況だが、始まったときにサッカーで盛り上げられるよう準備したい」と気を引き締めた。

曵地は昨オフ、JFL三重から契約延長オファーを受けたが、北海道十勝からコーチ兼務での加入を打診され移籍を即決。「今年で30歳。北海道でGKを育てたいという夢があった。それをプレーしながら果たせる」。内山はJ3ガイナーレ鳥取を契約満了後、JFLチームの打診はあったが、札幌時代の先輩で昨季、チームに加入したDF永坂勇斗(25)の誘いを受け、決断した。「北海道で上を目指すという目標にやりがいを感じた。力になりたい」と前を向いた。

29人体制で道勢初のJFL入りを狙うチームの期待は大きい。JFL昇格をかけた全国地域チャンピオンズリーグに昨季まで3年連続出場も、昇格は果たせていない。就任2年目の高勝竜監督(55)は「いろいろな経験をしている2人の加入は大きい。ここで狙わないと」と力を込める。

曵地は鈴鹿時代、主力として東海1部リーグを2連覇し、18年にJFL昇格を経験した。「JFLと、さらにその上へ。札幌だけじゃなく十勝もあるということを、北海道の人に知ってもらいたい」。十勝からはい上がり、再びJの舞台を目指す。【永野高輔】

◆曵地裕哉(ひきち・ゆうや)1990年(平2)9月2日、札幌市生まれ。小野幌SSS、札幌厚別中から札幌U-18を経て09年にトップ昇格。13年5月3日J2京都戦で公式戦デビュー。14年愛媛、17、18年は東海リーグ1部鈴鹿、昨季はJFL三重でプレーし、今季から北海道十勝スカイアース入り。Jリーグ通算4試合、JFL4試合、東海1部25試合出場。193センチ、88キロ。家族は夫人と1女。利き足は右。

◆内山裕貴(うちやま・ゆうき)1995年(平7)5月7日、札幌市生まれ。札幌北栄幼稚園年長から札幌ジュニアスクールに通い、札幌北園小4年で札幌U-12入り。U-15、U-18を経て14年トップ昇格。15年にシンガポールSリーグ、ホウガン・ユナイテッドに期限付き移籍。16年に札幌復帰後、17年からJ3鳥取。J3で39試合無得点、Sリーグ17試合2得点。184センチ、76キロ。家族は両親と兄、姉、妹。利き足は右。

◆サッカー界のリーグ構成 年齢制限のない第1種のクラブを大まかにピラミッド型にすると、J1を頂点にJ2、J3(以上プロ)と続き、JFL、地域リーグ、都道府県リーグとなる。北海道十勝スカイアースが所属する北海道リーグは全国に9つある地域リーグの1つ。