北海道コンサドーレ札幌は2点差を追いつき、ベガルタ仙台戦は2-2で引き分けた。

0-2の後半17分、MFチャナティップ(26)がヘディングで今季1号。同ロスタイム2分、左CKからDF田中駿汰(23)のプロ初得点で引き分けに持ち込んだ。前半32分のMF荒野拓馬(27)の一発退場による数的不利な状況でも勝ち点1をもぎ取り、リーグ再開後アウェー4連戦を負けなしで乗り切った。

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札幌は1人少なくても負けなかった。2点差を後半だけで追い上げた。ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)は「2-2で終わったけど、最後は我々が1人多くいるかのような試合の展開だった」と振り返った。窮地に立たされても、札幌には勢いがあった。

3試合ぶりの失点で相手に先制を許し、さらに前半32分には、MF荒野が乱暴な行為により退場になった。後半15分には2点目も失い苦しい展開だったが、MFチャナティップが戦況を変えた。直後の後半17分、MFルーカスのクロスに頭で合わせた。158センチの小柄な体格。「ヘディングでゴールを決めてあり得ないことだけど、ラッキーかな」と冗談交じりに笑ったが、チームを勇気づける今季初ゴールになった。

6月22日からスタートした千葉市内での約1カ月のキャンプ生活では、結束力が高まった。主将のMF宮沢は「チームとして一緒に生活してトレーニングしていく中で、チームワークや1試合にかける全員の思いに、一体感が生まれた」と話す。そんな姿を見守った指揮官も「選手たちのたくましさを感じた。選手とともに過ごし、私自身は幸せだった」。不利だとされる敵地4連戦は2勝2分けで負けなし。Jリーグのクラブで唯一のキャンプ生活も前向きに受け止め、その精神的タフさがピッチで輝いた。

22日はいよいよ東京との今季ホーム開幕戦。「チャナ、帰りたいね」と、北海道を恋しがったチャナティップは「道民の皆さんの前でプレーできるのは非常にうれしい」。勢いに乗ったまま、サポーターの待つ北海道へ帰還する。【保坂果那】